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1人の予約が途上国の子どもの給食に/社会貢献型グルメアプリ「テーブルクロス」代表の大学生・城宝薫さん

 飲食店の予約をすると、途上国の子どもに給食が届けられる――そんなチャリティ付きアプリを開発し、今年本格的に事業を始めた「テーブルクロス」の社長は、立教大学4年生の城宝薫さんだ。子どものころの夢は「社長さん」。旅行や父親の出張に同行して見た途上国のストリートチルドレンの姿に、「何かしなければ」と思ったものの、何もできないもどかしさ。そんな経験が、「利益の創造と社会貢献を両立する」起業をしようという思いに結びついた。
テーブルクロス社長 城宝 薫さん
 無料アプリ「テーブルクロス」を使って飲食店の予約をすると、1人の予約につき、途上国の子ども1食分の給食が届けられる。利用者の費用負担はなく、支援した給食の数を確認できる「エンジェルカウンター」もついている。給食費は飲食店からの広告費の一部でまかなわれる。
 祖父が起業家だったことから、城宝さんも影響を受けた。高校時代に訪れた米国では、NPOが利益をつくりながら社会貢献をしていることに刺激を受けた。日本ではNPOは無償のボランティアという印象が強かったため、そうではない道もあることを知ったことが、現在の活動の原点になっているという。「アメリカでは一番人気の就職先がNPOだったりする。利益と社会貢献がセットになっているモデルが日本でも広がればいいと思った」
 大学1年で、企業と提携して新商品開発を行う学生団体を立ち上げ、大学の枠を超えた活動に従事。ベンチャーでのアルバイトも経験し、大学3年生になったとき、就職か起業か迷ったが、様々な出会いがあり、会社を立ち上げることにした。
 国連世界食糧計画(WFP)やNPO法人HEROなど10団体と提携し、アジア・アフリカ諸国の子どもたちにこれまで1千食を提供している。加盟している飲食店の数はまだ多くなく、アプリの普及もこれからだ。しかし、2年後に創業120周年を迎える文京区の共同印刷が、CSR活動として、月120食の給食支援を目標に掲げて活動してくれることになるなど、少しずつ輪が広がっている。
 城宝さんは「グルメアプリとしてのしくみ確立が最初のステージ。予約すると誰かのためになるという形の文化の定着をめざしたい」と話している。

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