「あいそめ市」は、JIBUNマガジン1月号で紹介した「ZASSO」に取材した際、話題にあがったイベントだ。「ZASSO」のメンバーは、「あいそめ市」の発起人でもある。このイベントで「コンパクト屋台を活用したい」という思いもあったという。
あいそめ市初回の開催は2017年12月1日。藍染大通りにある地域サロン「アイソメ」が縁で出会った、「ZASSO」の加藤正紘さんと彌吉健介さん、自然の素材を大切にしたおもちゃ・雑貨を取り扱うお店「RAINBOW SEEDS」の山名美也子さんの3人により立ち上げられた。
「こんなにすばらしい広々とした道路と、毎週日曜歩行者天国になる特性を持つ『空間』があるのだから、活用しないのはもったいない。様々な年代の人が利用できて、人が集まる場として面白いエリアに育てていきたい」という3人の思いが一致したのが発端だ。
藍染大通りの界隈に、block(「日本一ハードルの低いレコード屋」)の経営者、谷根千まちばの健康プロジェクト(谷根千の人々のつながりと健康高めるための活動を展開する団体)など、個性的な場づくりをする活動家が集まりつつあった。
「それぞれが持つコンテンツや個性をこの藍染大通りに集結させたら、おもしろい化学反応が起こりそうだ」
「集まったコンテンツを屋台から展開させ、その屋台が藍染大通りにちなんで『藍染の布』で統一して並んでいる景色が生まれたら見応えがある」
そう考え、活動家たちに声をかけた。初回の「あいそめ市」は5店舗と小さくスタートした。
2回目は、2018年5月6日。初回にお客さんとして訪れた人や評判を聞きつけた人から出店希望があり、店舗数は15に増えた。出店者は、根津界隈だけでなく、地域外にも広がり、出店内容の幅が広がった。
そして、2018年11月25日、3回目の出店数は23店舗と拡大した。「『こども市』という子どもも店主として参加できるプログラムも増え、子どもからお年寄り、様々な個性を持つ人が集ってくつろげる空間になっていった」という。
そして今回、5月12日。
藍染大通りには、自家製のオーガニックなフードやドリンク(身体によさそう!)を取り扱うお店、世界観あふれるアート、クラフト雑貨、ワクワクする楽器などの手作りワークショップの店、掘り出し物が眠る路上ライブラリー、思わず聞き入ってしまう紙芝居の実演、手軽に野菜の苗植え体験ができるお店などがずらりと並ぶ予定だ。会場には、テーブルやベンチなどゆったりとくつろげるスペースが用意されている。
「あいそめ市」を作っていく上で、大事にしていることはなんだろう。
「地域の人たちとのコミュニケーションを大切にしながら進めている。この地域で、どういうイベントをどう作っていくのがいいのか、地域の人、つまり一番近い存在の人たちを思って企画することが重要だ」という。
また、「多くの祭りは、『食べる』イベントになりがち。消費するだけでなく、『滞在』し『日常に繋がっていく体験をつくる』というねらいを大切にしていきたい」とも。
「道を使ったイベントは、地域の人はもちろん、他から訪れる人たちの通り道であり出会いの場。通りすぎるだけでなく、滞在することでコミュニケーションが生まれコミュニティができていったり、マーケットの風景や活動がその後の日常につながって、ここで楽しく遊んだという記憶が、この街への愛着になり、将来この街に住みたいと思ったり、出て行ってしまった人も戻りたくなったりしたらいいなあ」
「そのためにも、回数を増やして開催していきたい」と3人は語った。(文・稲葉洋子 写真はあいそめ市実行委員会提供)
あいそめ市2019春
2019年5月12日(日)11:00~16:00
文京区根津2丁目29~36番 藍染大通りにて
主催:あいそめ市実行委員会 共催:藍染町会 後援:アイソメ