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OSAGARI絵本のよりみちにっき/今読みたかった「友情」の絵本

先日、息子の小学校で今年度最後となる「朝の読み聞かせ」がありました。月に一度、保護者有志が各々割り当てられた教室へ赴き(事前に希望は出せる)絵本を読むというものです。あっという間に過ぎ去った1年を振り返りながら、今年度最後の読み聞かせに選んだのはこちら。

『ゆらゆらばしのうえで』

きむら ゆういち 文

はた こうしろう 絵

(福音館書店)

今回私が担当したのは3年生です。メインの絵本は“友達”“友情”が描かれているものがいいなと思い、いくつかピックアップしたものの中からこちらを選びました。声に出して読んだときに、あ、今回はこれだな、と。

読み聞かせ当日、1冊目の『またまた ねえ、どれがいい?』(ジョン・バーニンガム著/まつかわまゆみ訳/評論社)でたくさん笑ったあと、この絵本をカバンから取り出すと「なんか形が面白い」「縦長だね」と子ども達が食いつきます。本を開くと見返しの深い青があらわれ、その後、本編へ。「わあ、絵がきれい!!」「縦長が真四角になった!」と歓声が上がります。

物語は、「息を切らしながらゆらゆら橋に駆け込むウサギと、その後を追うキツネ」という緊迫した場面から始まります。ウサギに近づこうとすると橋が傾くから、せっかく獲物が目の前にいるのに身動きが取れない、というジレンマ。そのうちとっぷりと日が暮れ……という具合にお話が進みます。テンポのよい2匹の会話とダイナミックで色彩豊かな絵。ページをめくるごとに、子ども達がぐっとお話の世界に入り込んでいくのがわかります。

最後に「おしまい」と本を閉じ、「『ゆらゆらばしのうえで』でした」と言って子ども達を見渡すと、ほっとしたような顔で「ウサギさん、助かってよかったね」「キツネいいやつだー」という安堵の声がもれました。担任の先生からも「とっても引き込まれるお話でした。素敵な絵本を紹介してくださってありがとうございました」とあたたかいコメントをいただきました。ああ、行ってよかった!

このところ海の向こうから伝わるニュースに心がざわついていて、正直、今回の読み聞かせはパスしようかな……とも思っていたのですが、こんなときこそ行ってよかった。ありがとう。教室を出た後、心からそう思いました。

1年前、息子が期待に胸ふくらませて作ったランドセル。お友達とたくさん笑ってぶつかって、仲直りして、またぶつかって。そんなこんなで、もうすぐみんな2年生

OSAGARI絵本・伊藤みずほ)


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