住民自身が主体となり、「個」の防災力を上げようと、5月31日、礫川小学校で、周辺の町会などで構成される避難所運営協議会主催の防災訓練が開かれた。約160人が参加した。
(ジャッキを使い、下敷きになった人を助ける訓練)
消火器による初期消火訓練だけでなく、起震車による地震体験や心肺蘇生訓練もあった。ジャッキを使って、がれきに見立てた板を持ち上げて「人」救出したり、チェーンソーで板を切ったり。消火栓に「スタンドパイプ」を差し込み、ホースをつないで放水するなど、実践的な消火訓練もあった。数多くの体験訓練を参加者が経験することで、誰もが災害時の様々な状況に応じて行動できるようにすることをねらいとしている。
訓練を終えた後は、東日本大震災をきっかけに表町町会が支援、交流を続けている宮城県気仙沼市より小野寺優子さんを招き、避難所での様々な人々の行動などの体験談を聴いた。
(※講演の内容は動画で閲覧ができます→「礫川小学校避難所運営訓練 講演会」https://www.youtube.com/watch?v=hPAgUaL2BXk)
(スタンドパイプを消火栓に差し込み、ホースをつなぐ)
※防災資機材を実際に使うことで機材の不具合も見つかった
協議会の森田晴輝さん(表町町会会長)は、警察も消防も行政も、区外に住む人が多いためすぐ駆けつけられないかもしれず、住民が主体でやることが重要と考えている。「この3年間、年に2回、雨の日も風の日も雪の日も、欠かさずやってきました。今回の訓練ではスタッフも全ての訓練を体験できるようにしました。これも欠かさず防災訓練を実施してきたからできたことでした。まちの人が一人でも多く災害時に行動できるようになれば、まちの防災力は格段に高まります」と話す。文京区には32の避難所運営協議会があるが、実際に防災訓練を実施しているのは半数程度しかない。
(「AED:自動体外式除細動器」を使った心肺蘇生訓練)
礫川おやじの会もスタッフとして協力。事務局は「たくさんのお父さんたちが子どもと一緒に来てくれてよかった。スタッフも子供と一緒に訓練を体験できてよかった」と話す。
訓練計画を立案した篠原惇理さんは、「前日の段階で雨の予報となり急遽体育館内での計画も立てました。晴れたため室内用の訓練計画は結局必要なくなりましたが、関係者間で緊密に連絡を取り合い臨機応変に行動できることも大切だと感じました。訓練計画を立てることも訓練の一つだと思います」と話す。
(4人家族1週間分の備蓄品はこれだけの量)
礫川小学校避難所運営協議会ではこれまで、防災倉庫にある物をグラウンドに並べて「見える化」し、倉庫に保管する物の配置や動線の見直しにも取り組んだ。消火栓を開けてみたり、危険な場所や身の守り方を確認したりする防災まち歩きを実施し、マップづくりや、アンケートや相談会に取り組む町会もある。住民が「自分ごと」と感じられる取り組みが、地域の防災力を高めるようだ。(亀)