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まちの資源を活用し、出会いをつなぐ――東洋大とコラボで文京区民らが子どものまちあそびについて考えた

子どもの声が騒音とされたり、ボール遊びができない公園ばかりだったり。子どもたちはどこで遊べばよいのか?――そんな問題意識のもと、「子どもの『まちあそび』を考える」というテーマで第3回文京区民版子ども・子育て会議が11月4日、東洋大学で開かれた。同大とぶんきょう子育てネットのコラボ企画で、子連れの親ら約30人が参加し、まちの資源を活用し、まち全体で子どもが遊べるようにするにはどうしたらいいか、ワールドカフェ形式で考えあった。

まずは話題提供。最初に「まち保育のススメ」の著者の1人である「子どもの未来サポートオフィス」代表の米田佐知子さんが「まち保育」について話した。まち保育とは、まちの資源を活用し、出会いをつないで、関係性を広げていくこと。場や機会を開き、身近な地域社会と一緒にまちで子どもが育っていく土壌をつくることだという。

かつて、ご近所の助け合いという面的なサポートがあったが、今は「サービス」と「利用者」という縦の関係になり、横のつながりが切れている。「ゆるくつながって助け合える小さなコミュニティーがあちこちあって、どこに属すか選べる、そんな場と関係をつくっていくことが大事ではないか」。そのような関係性の広がりがあれば、もっとまちに出やすくなるという。

2人目の話題提供者は、根津の藍染大通りで、フリマや水遊び、路上映画会やアートイベント、子ども広場を実践している澤田圭司さん。愛媛県出身の「よそ者」だが、町会青年部や小学校のPTA役員も務め、新旧住民のつなぎ役にもなっている。続けている理由は「楽しいから。参加者が主催者側へ回るなど、人もまちも元気になっている。子どもたちのふるさとができる。若者の居場所にもなっている」という。

3人目は東洋大学森田明美ゼミの1年生。今夏、小学生の放課後の過ごす場所に関するフィールド活動として、近所の公園に来ている子どもや親、民間学童事業者などにインタビューした。子どもたちは小さな公園でも毎日のように通い、数時間を過ごし、いろんな遊びを編み出していた。一方、学童保育や児童館も、子どもたちの居場所となっていることがわかった。発表した学生は「学童保育はアットホームな雰囲気で、安心、安全が大事だと思った。保護者も安心できるし、子どもたち自身も、ここが安心、みんながいて楽しいと話していたことが印象的だった」と感想を述べていた。

後半は、一定のルールに基づき、意見を出し合って対話するワールドカフェ形式で、自分が子どものころどこでどんな遊びをしていたか、まちあそびをするために必要なことは何かなどについて意見を出し合った。「文京区に多い寺は使えないのか」「安全と冒険のバランスが難しい」「子どもの声を騒音と感じさせないためには、まちの人との対話が欠かせない」「先生や親というタテの関係でも、同級生というヨコの関係でもない、近所の大人や学生のようなナナメの関係が大事」といった意見が出されていた。対話を通して、まちの資源の発見ができ、新たな出会いとつながりが生まれたようだった。(敬)


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