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名画を歩く(東京坂道ゆるラン)重要文化財になった坂道

ときに、立ちすくんでしまう絵があるものです。
東京ではそう珍しくもない関東ローム層の赤土むき出しの坂道が青空へと伸び、路傍には真新しい白い壁と造成地の土手。そして赤土の道に落ちる電柱の影。これらの自然と人工物は対比を成して、強烈なインパクトを放ち、新しく生まれた坂道の生命すら感じます。

芸術を学んだ事もなく偉そうなウンチクは述べられないのですが、作者の術中にハマり込み、しばしの間、その絵の前を動けなくなってしまいます。

道路と土手と塀(切通之写生)

岸田劉生「道路と土手と塀(切通之写生)」(大正四年1915年・重要文化財) 岸田劉生画「道路と土手と塀(切通之写生)」(大正四年1915年・重要文化財)

この絵を見たのは東京国立博物館で開催された「名作誕生 つながる日本美術」という展示。様々な芸術作品の誕生舞台裏を解説している意義ある展示でした(現在この絵は東京国立近代美術館で常設展示)。

岸田劉生自画像

岸田劉生(1891年ー1929年)といえば、日本全国の小学生を恐怖のドン底に落とし込んだ「麗子像」で知られます。銀座で生まれ「麗子像」の連作を描く前、大正四年(1915年)二十四歳の時、代々木に住み、明治の頃は鬱蒼とした森や畑だったところに、大正初期、切り通された坂道を題材にこの作品を描いています。

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※この記事は「東京坂道ゆるラン」の「名画・名建築を歩く」に掲載されたものです。

 


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