番組を企画し、取材し、撮影し、編集する。そんな共同作業をまちづくりにつなげようという「住民ディレクター」の実践者、杉並区の高橋明子さんが、毎月、「杉並TV」をインターネットで放送している。「生活者が、自分がよく知る地域の情報を発信し合い、交流しながら、イベントを主催したり参加したりして報告を出し合えば、地域が見えてくるのでは」と話す。番組作りが目的ではなく、集まってわいわいトークして、結果として番組になる。企画や取材のプロセスを楽しむことがねらい。高橋さんはそれを「見えるラジオ」と呼ぶ。
9月の集まりには、区内外から6人が参加した。杉並TV2014年9月号(約30分、JIBUNスタッフ及川も出演)
(収録は和気あいあい。右から2番目が高橋明子さん)
住民ディレクターは、元テレビマンの岸本晃さんが提唱、一般社団法人「八百万人」を立ち上げて全国をネットワーク化しており、高橋さんは事務局長を務める。また、岸本さんを総合プロデューサーに、NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」の放送直後から15分間、「官兵衛で國創り~NHK大河ドラマ追走ドラマ」と称して、福岡県東峰村を中心に北海道から九州まで全国の住民ディレクターをつなぎ、番組をインターネットで生放送している。
(進行表もつくる)
8月に東京都内であった「官兵衛で國創り合宿」による番組作りに参加した杉並区の鈴木摩矢さんは、杉並TV9月号の中で「官兵衛で國創りは、週に1回、日本をみつめ、資源を見つけるしくみだ」とコメントしている。合宿では、杉並の中で官兵衛とつながりがあるものを探し、放送へもっていくという作業をした。何もない、と思っていたら、今川氏ゆかりの寺があるといった情報も出てきて、取材に向かい編集、放送と、バタバタながら達成した。鈴木さんは、最強の資源はひとの中にある「目」だ、と言う。「あるものはあることを武器にする。ないものはないことを武器にする。ないと思っていたことから、あるものを見つける目を育てることが大事なのでは」
(収録前打ち合わせ。左端が狩野さん夫妻)
また、初出演の狩野俊さんは、高円寺北中通り商栄会で古本屋×居酒屋の「コクテイル書房」を営みながら、超ローカルテレビ局「高円寺北中テレビ」を今年2014年1月に開局した。店に集まる豊富な人脈を武器に、微弱電波を利用し、商店街に街頭テレビを設置。10月19日からは、子ども向けの12回シリーズの番組作りワークショップも始める。商店街だけでスマートフォンで見られるといったインターネットテレビのシステムも構築中だ。「局地的な放送にしたいから、『超』がつくローカル。見る方も発信する方も、地域を自分たちのものとして実感できる、つまり、身体性、当事者性を持つことができる。ネットで膨大に広がってしまった今だからこそ、狭い身体的なメディアをつくりたい」(敬)
(タイムキーパーもいて、時間を管理する)