わかる面白さ、できる喜び、考える楽しさ。これらをオリジナル教材で伝え、子ども自らが成長する力を引き出そうという学習塾「わでかくらぶ」が、文京区音羽で今春、立ち上がった。運営者の高山陽介さん(34)は「宿題やったの? やりなさい、と言わなくて済むよう、学校の宿題は塾に任せて、家はくつろぐ場にしてほしい」と話す。塾長の福永朋子さんは「その子のペースに合わせた教育ができれば」と話す。
(塾長の福永さん)
「おむすびを一つわたしにくださいな」「まがりみち一本すぎが見えてきた」。1年生の男の子が「一」の漢字を練習したあと、福永さんと一緒に例文を読み上げた。「文字を覚えることは、勉強の前段階です」
(高山さん)
教材は、個人指導の「音羽塾」を主宰している田中保成さんが開発した。高山さんは田中さんの塾を手伝ううち、教育の面白さや重要性に気づき、今春、わでかくらぶを立ち上げた。福永さんは、「学習障害では」とまで言われたわが子を1年生から音羽塾に通わせ、算数のテストで100点をとれるまでに成長する姿を見てきた。「カードや碁石を使いながら算数を、『あいうえお』はなぞるところからやり、一つずつできるようになった。同じような悩みを抱える親子の力になりたい」と、塾長を引き受けることにした。「子どものコミュニケーション能力も高めたい」という。
(ヨーロピアン調の教室)
高山さん自身は子どものころ、「勉強が楽しいと思ったことはなく、親に迷惑をかけたくないからやった」という。子どもに勉強を強制するような家庭内の会話は、親子関係を崩すことにもつながると思う。「受験のための勉強ではなく、まずは楽しく勉強する体質づくりをしたい。わかる、できる、が実感できたら、親のためではなく、自分の夢や社会のために勉強したい、という方向に変わるはず」
(自習スペースも)
2歳児のパパでもある高山さんは、子育てサークル「ワラビー」の幹事も務めており、毎月第1、3金曜の午前中に子育てサロンも開いている。「親子関係をよくしたい。社会をよくしたい。塾は手段の一つであり、わでかをコミュニティーにしたいんです」と高山さん。
わでかくらぶの対象は小学1~3年生。直接指導コースと自習コースがあり、最大20時まで教室にいられる。詳細はホームページやフェイスブックページで。(敬)