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おうちを劇場に!「人形劇団ののはな」納富俊郎さんのオリジナル人形を作って公演しよう

人形劇団ののはな」は、「好奇心が旺盛で、行動力がある、子どもらしい子ども時代を、生き生きと生きてもらいたい。そんな子どもたちのために人形劇をしていこうと思います」(劇団のホームページより)という目的を掲げ、納富俊郎(のうどみとしろう)さんと妻の祥子さんご夫婦で、九州を中心に活動している人形劇団だ。その評判は九州にとどまらず、日本全国に及び、東京から公演を依頼しても、スケジュール調整はなかなか厳しく、幼稚園、保育園、小学校、公共施設、子ども劇場などで時期をつなげて公演を実現させている。超人気の人形劇団で、かつて谷中幼稚園に呼んで鑑賞活動をしたとき、事務局担当者としてお世話になった。

劇団の所在地は北九州市、設立は1998年。同年に平成10年度東京都優秀児童演劇選定日本児童演劇個人賞、2009年には平成21年度児童福祉文化賞(舞台芸術最優秀グランプリ)などいくつもの賞を受けている。

緊急事態宣言下では移動しての公演はお願いできず、ホールで公演できるようになるのは、まだまだ時間がかかりそうだ。今、納富さんは、ご自身のFacebookページで、簡単に家で作れる手作り人形をたくさんアップしている。家族で人形を作り、役を決めたりBGMを考えたりして上演してみてはどうだろう。演じる人も観客も家族。予告編としてビデオに撮って友人と送りあったり、集まれるようになったらお互いの家を訪問しあったりするのも楽しい。

「トコトコ人形」:人差し指と中指を「足」にしてトコトコ歩かせるトコトコ人形。「人形に写真などを貼れば自分だけの作品になる」と納富さん。三匹のこぶたや、赤ずきんちゃんづくりにも挑戦してみては。詳細はFacebookページで。

「あい~ん人形」:亡くなった志村けんさんが演じたギャグ、バカ殿の「あい~ん」も人形にした。紙コップでつくる志村けん・バカ殿「あい~ん」。型紙と作り方もFacebookページに掲載中。

納富さんにメールでインタビューした。

――人形劇を始められた経緯は?

「大学(熊本大学)で人形劇のサークルに入ったことが大きなきっかけ。一つしか無い台詞でしたが、言葉を発したときに、大きな開放感を感じました。また、人形を作る、構造を考えるなど、創造的な面白さと、それを作り上げる集団の魅力に充実感を覚えたからだと思います」

――人形劇へのこだわりは何ですか。

「自分でも満足できる物を作る、と言うことですね。これくらいでもいいやと言うのではなく、今までに無い新しい物を、みんなが驚くような物を作り、発展させることを考えながら続けています。子どもを観客としていますが、その親にも満足してもらえるような作品作りが大事です。子どもの幸せは、家庭の中にこそあると思い、家庭での遊びに発展するような作品を作っています」

――コロナが収束しても元の生活にもどるには5年かかるといわれています。withコロナの中でこの先の活動について、考えていることはありますか。

「私たちの人形劇は3密です。おそらくコロナが収束しても、即公演とはいかないでしょう。感染した子どもの死亡率は低年齢ほど高いと言われ、後遺症として血管の病気も報告されている状況の中では、人形劇を見に行こうという人は少ないでしょう。生のお芝居の面白さ、ライブならではのふれあい、それが否定されているのですから、どうしようもない。今問われているのは、どのように生き残るために変化できるかではないでしょうか。もしかしたら面白いものが生まれる可能性もあります」

――たとえば

「家族単位で見る人形劇や演劇・音楽など、小規模観客の上演は、すでに多くの人が考えていると思います。その場合、公演料金が少なくなります。感染防止の観点からも時間は短いものにして、一日に何回もできるものになる。それだと、出かけての公演では効率が悪いので、自分の家を小さな劇場にして、観客に来てもらうようにする。そうすれば仕込み(舞台のセッティングなど準備)の時間を少なくできます。そんなふうに、各地に小さな劇場がたくさん生まれてきたらおもしろいですね。小さな劇場案内のアプリが出て、生のお芝居が至る所で公演されて、身近に見られる。おのずと役者と観客との距離が近くなって、その魅力が、大きく作品に反映されるので、これまでとは違う、新しいものが生まれてくるのではないでしょうか」(稲葉洋子)


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