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ゆるやかに、静かに。屋外でも開催。「芸工展2020」㊦

2020年10月17日(土)、台東区池之端の古本屋さん、「タナカホンヤ」で、根津映画倶楽部主催の「ホームムービーの日inタナカホンヤ」があり、さっそく行ってみる。毎年、根津教会で開催しているが、コロナの中では、いつものようにフィルムを、大勢でおしゃべりしながら見るスタイルが取れないと判断したこと、また、これを機に新しいかたちでの「ホームムービーの日」をやってみたいと思ったからだそうだ。

毎年行われる「ホームムービーの日」が気になりながら、いつも参加できていないので、わくわくしながら足を運ぶ。どんな活動なのだろうか。代表の島啓一さんからお話を聞く。

「家庭に埋まっているフィルムをお預かりしチェックしてみんなで見るという活動を、ここ10年くらい根津でやっています。フィルムは見つかっても、もう映写機は持ってないし、見るすべもなく捨てられてしまうことも多いんですけど、我々のように映写機を持っていたり、修復の仕方を知っている人間もいます。フィルム自体は50年~60年前に撮られたものでも、いまでもきれいに見られますので、捨てないでくださいということと、我々が映写して一緒に見ることで、その50年前の時代をみんなで共有出来る」と島さんはいう。「で、そのフィルムを捨てないで、あとの時代に繋いでいきたい」と思っているという。

そのまま千駄木方面にもどり、2丁目にある「yorimichi cafe」で休憩。ここも、毎年芸工展では、ステンドグラス、ピアス、ネックレス、端切れなど、手作りの作品を店に飾り出展している。今年は、「五郎丸隆子 『小さな染色てん6』を展示。五郎丸隆子さんは手工芸美術家。この日は残念ながら作家さんは不在だったが、お店の責任者、配島彩さんによると、「今年は、コロナのこともあって、芸工展には参加しない予定でしたが、親交のある五郎丸さんが、ここに展示するという話が持ち上がり、場所を貸すという形で参加することになった」という。

翌10月18日(日)は、根津神社の参道、藍染大通りで、地元町会が取りまとめをする形で、「みちあそび」「野点」「盆踊り」「人間ジュークボックス」などのプログラムを持って、いろいろな団体が、お祭りのように道路に繰り出した。芸工展のマップには載せきれていないためチラシが作られたが、あまり遊びのプログラムのないこの時期に、幅広い告知により、人が集まりすぎる心配もあり、近隣に少しポスターを貼っただけだったようだが、親子連れの参加者が結構押しかけていた。人数制限や、ソーシャルディスタンスの徹底、マスク、消毒、検温など町会からの大勢のスタッフの協力でコロナ対策はできていた。藍染大通では、この日以外にも出展があり賑わったときく。

10月24日(土)は、台東区谷中七丁目「貸し原っぱ音地」へと向かった。上野から王子へ続く諏訪台地にある。晴天だと、とても近い距離間で青空が広がる場所、風の通りがよい場所だ。空き地自体はそんなに広くはないが、4日間は、「谷根千まちばの健康プロジェクト」と「おくすり処花水樹」による「心の御薬箱・からだの御薬箱」を主体に、他の団体も一緒に参加した。この日は、野点と紙芝居が便乗。野外でお茶会を楽しんだり、手作りの木の本棚に並べられ出展された古本を手に、「わぁ、この作家なつかしい!」などと声をあげながら青空の下で本のページをめくっていたり、なんとものどかな光景が広がっていた。うち、2つの団体が、「アイソメ市」の持ち運べる屋台、「ショッテショップ」を持ち込み、青空の下に置かれた木の家具が癒しの空間を作っていた。

今回、芸工展期間外にも開催していた、谷中M類栖主催の「丸井金猊『写と想像⇔創造』展」を9月に鑑賞した。

中止となった東京国立博物館 特別展「法隆寺金堂壁画と百済観音」へのオマージュとして、金堂壁画のコロタイプ印刷の複製画像(一部実寸)と丸井金猊の百済観音を画中画とした屏風を展示、金堂壁画とその模写画家たちに関する資料をそろえ、法隆寺に想いを馳せられる展示をした。

この展示は、その後も、11月にも開催された。9月の時は、短時間では見切れなかったのが残念、コロナの状況が再び悪化し、次回開催は未定とのことだが、もし開催されたら、また行きたいと思っている。(稲葉洋子)


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