押し寄せる避難者に対応が追い付かない!避難所運営ゲームHUGで体感

 「3歳の三つ子を連れて車で避難してきた父親、途方に暮れている」「ブラジル人世帯、妻がけがで入院」「ボランティアが駐車場はどこか尋ねてきた」「毛布到着」――次々に押し寄せる避難者、ボランティアや取材者の来訪、行政から届く物品。災害が起きたとき、避難所はどのような状態になるのか、ゲームでシミュレーションする避難所運営ゲーム「HUG」が評判を呼び、各地に広がりつつある。文京区内でも何度も開催されており、「実際どうなるのか想像できた」「これは大変だと実感」などという声が寄せられている。文京区の状況に合わせ、より現実的で身近に感じられる内容のものをつくろうという動きもある。
 HUGは、避難所運営をみんなで考えるためのひとつのアプローチとして、静岡県が開発した。要介護者や子連れ、ペット同伴など、避難者それぞれが抱える事情が書かれたカードを、避難所の平面図にどれだけ適切に配置できるか、避難所で起こる様々な出来事にどう対応していくかを模擬体験するゲームだ。H(hinanzyo避難所)、U(unei運営)、G(gameゲーム)、HUGは英語で「抱きしめる」を意味し、避難者を優しく受け入れる避難所のイメージで名付けられたそうだ。
 小石川の「さきちゃんち」で7月に子育て中の親向けに開かれたHUGでは、約10組が2グループに分かれ、礫川小学校の体育館や校舎内の教室の配置図とにらめっこしながら、ゲームに取り組んだ。要介護者や子連れ、ペット同伴、車で逃げてきたなど、架空だが具体的な背景や事情が書かれたカードを読み手が読んでいく。それを体育館の適切な場所や教室に置いていく、ただそれだけなのだが、これがなかなか難しい。
 「自助ちゃん。両親が死亡した3歳の男の子。近所の人に連れられてきた」「津浪さん。世帯主は歩行が困難なため、車で避難してきた。上の子は手に切り傷あり」。次々にカードが読まれ、渡されるものの「えっと、車はどこに止めればいいんだっけ」「けがしてるなら保健室かな」「看護師の避難者いなかったっけ?」「元気な人は4階へ行ってもらおう」・・・話し合う間もなく、即座に判断しなければ、カードはどんどんたまっていってしまう。取材者が来たり、ボランティアが来たり、物品が来たり。「民生委員さんが独り暮らしの方の安否確認に来ました。○○さん、○○さん、○○さんを探しています」。最後の方はもう、お手上げ状態だ。
 企画した「減災そなえーる東京」主宰者の星彩子さんは「組織作り、部屋割り、名簿の作成など、やらなければならないことはいっぱいある。具体的に体感してもらい、備える意識をつけてもらえたら」と話す。すでに文京区内では7カ所で実践しており、「子育て中の方は特に、短時間でご家庭の備えについて考えることができるようになります」と言う。静岡で作られただけに、被災者の状況を記したカードは、車で避難してくる人が多かったり、津波被害に遭った人が来たり、文京区で被災した場合の想定と異なる部分も多い。そこで星さんは、帰宅難民や、徒歩避難を中心とした想定のカードを入れ込んだ文京区版を作りたいと考えているそうだ。星さんは「災害時のイメージをたくさんの人に自分事として持ってもらいたい」と話している。
 9月25日(日)には、文京区春日のシェアスペース安藤坂COINで開催予定だ。