しゃべって食べて、ゆるやかな見守りも/まちの人によるまちの人のカフェ「風」

文京区千石3丁目と4丁目の境にある通りを歩いていると、ソフトクリームのディスプレイがぱっと目に入る。コミュニティ・カフェ「風(かぜ)」。2013年夏、長年地域活動を共にしてきた仲間である加藤良彦さん(65)と、妻の由美子さん(63)、友人の小野寺加代子さん(77)らがオープンした、地域の新しいたまり場だ。

 前身は、文京区社会福祉協議会のサロン事業の中で開催していた「千石サロン」で、地域のお年寄りが集っておしゃべりをする場を定期的に設けていた。「常設の場があるといいね、それには、やっぱり食べることができるのがいいね、と思ってカフェを始めたのです」と小野寺さん。
小野寺加代子さん(左)と加藤由美子さん
 調理は、地域のベテランお母さんたち6人が交代で担当し、日替わりランチを提供する(500円。ドリンク100円)。「たとえば『塩味』と言っても、それぞれ違った味つけになるんですけど、それでいいの。仕出し弁当みたいに毎日一緒の味だと飽きちゃうじゃない?」
 カフェは大きなテーブルひとつ、小さなテーブルが6つあり、24席はいつも常連客ですぐに埋まってしまう。「うちの『常連さん』は常連も常連。毎日いらっしゃる方や、週に3日いらっしゃる方とか、ランチが終わって、もう1回午後におしゃべりしにお寄りになる方もいらっしゃいます」
 運営母体は「NPO法人風のやすみば」(2014年法人化)で、加藤さんが代表を務める。高齢者の見守り、居場所作り、生活支援を目指して、カフェの運営の他にもさまざまな活動を展開している。
 活動の2本目の柱となるのが「なんでも屋さん」。草取りや枝切り、家具の移動など、ちょっと手伝ってほしいことをお願いすることができる。作業そのものに加え、作業中にスタッフと世間話をすることも、依頼者の楽しみになっているそうだ。「今はまだ少数のスタッフで対応していますので、ゆくゆくはたくさんの地域の方に協力していただき、助け合える機会を増やしていきたいですね」と加藤さん。
加藤良彦さん
 ランチの時間外では、店内でイベントも不定期で開催しており、これまでに、おとなのぬり絵教室、プリザードフラワー教室、重曹と酢を使ったエコクリーニングの講座など、地域の人が先生となって教える講座や、地域の子育て中の母親たちによるハンドメイド雑貨展などが開催されてきた。
 この夏、東京ホームタウンプロジェクトの支援により、ピカピカのパンフレットが完成した。キャッチコピーは「ちょっと話すだけで、ホッとできる場所があります」。ニュースに載るような独居老人の孤独死も、人ごとではない。身内がいなかったり、いても遠くに住んでいたりする高齢の住人も多く、地域で支援の仕方をこれからも模索していこうとしている。
(倉持歩)
コミュニティカフェ「風」
文京区千石4-5-2 水野ビル1F
9:30~17:00(木曜・日曜定休)