街角で野菜を作りながらまちを育てる/根津寄せにわプロジェクト「こちらのゾーン」

街角で野菜を育てるって、おもしろそうな話だな。空き地に畑を作ったりするのだろうか。

9月23日、みんなで野菜の収穫と新しく種まきをするよ~という呼びかけに興味津々、根津の藍染大通りに出かけた。「やわらかいよ!」。着いたときには子ども達が、収穫を終えたナスを大事そうに持っていた。植えたり穫ったりは子どもたちにおまかせ。取材に走る。

広い面積に畑を作るのではなかった。根津のお店で不要となったビール樽や業務用調味料の缶でオリジナルプランターを作り、そこに苗や種を植えて、街角で野菜を作る。日常管理は野菜作りに興味を持った地域の住民が、「まち農家」として担う。通りかかった人が気軽にお手入れできるよう、野菜の育て方を書いた看板やジョーロ、シャベルなどを設置している。現在は藍染大通りの3箇所に12個のプランターを設置、この先は増やして行く方向だ。

この活動をやっているのは、東京大学工学部都市工学科の学生8名で2017年5月に立ち上げた、「こちらのゾーン」という団体だ。

「『こちらのゾーン』は、『できることから、こちらのゾーンから』というコンセプトで名付けました。都市にかかわるプロジェクトとして、小さい団体だけれども、都市を良くすることをめざし、これまでに、街角での野菜収穫イベント『寄り道農園ベジタ』を、神田、千葉そして根津で展開してきましたが、今は特に根津で本格的に動いています」とメンバーの一人、原洪太さんは語る。この他にも、都市に関わるコラムを扱う「こんかいのゾーン」を週1で発行しているという。

なぜ根津で本格的に動き始めたのだろうか。メンバーの木村達之さんは言う。

「私たちはこれまで、街角での野菜作りを通じ、持続して地域作りをしていこうと、プランターの野菜の収穫体験イベントを実施してきました。そんな中、藍染大通りでの『あいそめ市』に出展のお誘いをいただいたのです。そこで、根津の『寄せにわプロジェクト』を発足させました。藍染大通りは毎週歩行者天国、第7回ふるさとウエディングコンクールで賞をとったストリートウェディング、アイソメ市などがあり、『まちをおもしろい場所に!』という思いにあふれています。ここで地域の方々といっしょに、街角野菜作りを実現しようと思いました」

「『寄せにわ』はそこを通りかかった人みんなの力を寄せ合って野菜を育てようという取り組みです。責任者がいなかったり、栽培の難しさへの不安があったりしましたが、8月にスタートしてから、たくさんの方の手によって育てられました」

そして嬉しそうに続ける。「今回無事に第1号のナスを収穫することができました!」

この日、集まった子どもたちは10人ほど。最初は無関心そうだが、始めるとすぐ夢中になってしまう。大人も同じだ。原さん、木村さん、時丸耕太さん3人のメンバーの大学生に教えてもらいながら、まず、再利用の樽や缶のプランターに種まきをする。一番下には水はけを良くするため、小石を。次は缶の縁に届くくらいに培養土を入れる。そして、深さや間隔は難しいが、説明にちゃんと耳を傾けて種を丁寧に植えていく。

それを、台車に乗せて運んで、3カ所の設置場所にきっちり収める。最後にジョーロで水をやって終了。この日は、サニーレタス、おでん大根、二十日だいこんの3種類の種を植えた。にんじんの間引きもあったが、集まった子どもたちは幼児が多かったので、まびきは「こちらのゾーン」のメンバーでやることにしたそうだ。

「11月にはみんなで野菜を料理したいです。地元のお店とコラボしたイベントもやってみたい。今後はプランターを増やし、地域の方と様々な根津野菜を育てていきたい」と木村さんはいう。

「このプロジェクトにかかわって感じたのは、子どもたちの持つパワーのすごさです。我先にと、土を入れ、種をまき、水やりをしてくれます。とにかく目の前にあるものはやってみたいという意欲にあふれていました。野菜に対しては、ポジティブなものだけでなく、ナスは嫌い、とかネガティブなこともあるのですが、どちらのパワーもとても強い。私たちもそこに刺激されて頑張ろうと思ったりするのです」と時丸さんは言う。

  「地域の方たちの反応も興味深い。些細な変化に気づいてくれたり、関心をもってもらえて、見守られているのを感じます。どなたも自分の暮らすまちに対する思いを、強く持たれているようです。それは、まち作りを行う上で、もっとも基本的で大切なものだと気づきました。僕たちもそこに感謝を忘れずに活動を続けたいと思っています」と続けた。(稲葉洋子)

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