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小石川に「子ども第三の居場所」誕生/こどもソテリア小石川×ぶんたねこいしか和、NPOと地域が協働

木のぬくもりが感じられる空間、2階部分の木の格子がスタイリッシュだ。伝通院の裏手、真珠院がある坂を下る途中に、新たな地域の多世代の居場所がオープンした。NPO法人東京ソテリアが運営する「子ども第三の居場所」としての「こどもソテリア小石川」。1階部分は、子どもたちに多世代交流の場をと、地域住民が中心となって誰もが集えるサロンなどを開く「ぶんたねこいしか和」としての活用も始まる。こどもソテリア小石川の高田幸子さんは「地域と連携し、課題を共有しながらつながりづくりをしていけたら」と話している。

オープンの3月1日、開所セレモニーが開かれ、文京区のキャラクターBUNレンジャーや成澤廣修区長も駆けつけた。文京区内で8つ目の多機能型の居場所だそうだ。空き家利用や改装で開設した居場所が多いなか、ぶんたねは新築。NPO法人東京ソテリアが、日本財団の助成を受けて「子ども第三の居場所」として建設、開設した。「子ども第三の居場所」とは、困難を抱える子どもが安心して過ごせる、学校でも家でもない場所で、すでに開設した場所を含め、全国に来年度までに250拠点つくる予定だという。

東京ソテリアは江戸川区を中心に障害福祉サービス事業をしており、最近は、親が困難を抱え子どもが家事や家族の世話を担う「ヤングケアラー」など子どもの支援にも取り組んでいる。高田さんは「話せる場があることが大事。アットホームな『戻ってこられる』場所になれば。いろんな体験を持つ仲間が混ざり合って活動していきたい」と意気込む。高田さんのような精神保健福祉士・社会福祉士や、看護師、保育士ら、専門職と、学生ボランティアらがスタッフとしてかかわる。

2階は未就学児から小中学生を中心に登録制で、当面は週3日、食事の提供や学習支援をする日中の居場所「芽ぶきの部屋」。3階は宿泊ができる予約制のショートステイだ。

2、3階は子どもが過ごす居場所となっていくが、1階は地域に幅広く開かれた場「ぶんたねこいしか和」として地域の人を中心に運営し、地域の方々の目に見守られて子どもが育つ環境をつくっていく。

東京ソテリア、地元の町会、文京区社会福祉協議会や東洋大学がかかわり、開設前から話し合いを重ねてきた。「ぶんたね」は学生のアイデアで、文京区のこの場がタネとなり芽吹いていくというイメージで、地域住民の「みんなが和める場所に」という思いが合わさって「ぶんたねこいしか和」と命名されたそうだ。

精神科のソーシャルワーカーを育てているという東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科の吉田光爾教授は「コミュニティが衰退するなか、孤立は身体に悪い。社会的ネットワークが広い人ほど死亡率が低いというデータがある。地域の人とゆるやかな関係をつくり、意見をうかがいながら、社会的なネットワークができる場になれば」と話す。

合言葉は「そこに行けば何かがある。誰かがいる」。地域で月1回子ども食堂を開いてきた「おもてなし食堂」のメンバーを中心に、町会の人らが常駐し、月~土曜日、10時~18時まで誰でも自由に出入りでき、お茶を飲んだり会話したりできる。そのほか、防災の情報交換会や、フレイル予防体操、歌の会、絵本を楽しむ会などの催しが計画されている。

住所は文京区小石川3-8-16。こどもソテリア小石川の問い合わせは、東京ソテリアこども部(電話03-3868-0373、メールkodomo@soteria.jp)、ぶんたねこいしかわ和の問い合わせは文京区社会福祉協議会地域福祉推進係(電話03-5800-2942)へ。(敬)


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