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3度の花見が楽しめる清和公園。一葉も訪れた右京山、大正時代の住宅地の名残も

坂が多い文京区。公園も傾斜地にあるケースが多い。文京区の中心地ともいえる後楽園・春日地区にありながら、緑豊かで閑静な住宅街の中にある清和公園は、崖のようなところ、というか、山の斜面にある、と言ってもいいようだ。

文京区のホームページによれば、「清和公園では、早春から晩春まで、3度のお花見が楽しめます」とのこと。早春に「河津桜」が花開き、次に一般に広く親しまれている「染井吉野」が咲き、「染井吉野が葉桜になる晩春、八重桜が開きます」。4月中旬に行くと、公園南東の井戸近くにある「普賢象」という八重桜が花開いていた。

大きな木の近くにほうき状の樹形に花をつけていたのは「天の川」という品種かもしれない。

午前中は近所の保育園の子どもたちが遊具で元気よく遊んでいる。ベンチもあって、ひと休みしている大人の姿もちらほらみられる。

公園内に「右京山」という説明版があった。一帯は松平右京亮(うきょうのすけ)の中屋敷があった台地で、「右京山」とか「右京が原」と呼ばれ、子どもたちの遊び場だったらしい。菊坂に住んでいたころの樋口一葉も、妹と虫の音を聞きにきたとか。九段の祭りの花火を右京山から見物した、という日記の記述もあるそうだ。

「目で見る文京区の100年」(郷土出版社)より

一帯は大正11年、東京市に払い下げられ、宅地開発されたという。「目で見る文京区の100年」の中に、「真砂町住宅の子どもたち(昭和33年)」という写真がある。

ほぼ同じアングルであろう位置から撮影してみた。道の奥の右側の緑が清和公園。今も昔もたたずまいは変わっていないようだ。

驚くべきは、清和公園の上の道を進んでいくと、いかにも古い、しかしとてもモダンな住宅が現役であることだ。大正時代に建てられたものらしい。屋根の形が特徴的だ。

近所に似たような住宅がもう1軒残っている。背景に、再開発地域で完成したばかりの高層マンションがそびえたち、100年の時を超えて張り合っているかにみえる。

道路をぐるっと回ると公園の下に出る。ちょっとしたタイムトリップを味わえる。歴史の重みを感じさせる公園だ。(敬)


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