子どもの発達相談もカウンセリングも、アロマテラピーもバザーも。根津駅に近い細部小児科クリニックの上階にある子育て支援広場「ポケットランド」は、親子の交流だけでなく、専門家による相談やセミナー、お楽しみイベントまで開いている間口の広い子育て支援の場だ。「三世代が集える、地域全体で子育てできる場にしたい」と、活動の中心になっている細部小児科クリニック院長の細部千晴さんは言う。
ビル3階の広いスペースに、ブロッククッションが並び、窓際には「畳の間」も。壁際には木のおもちゃや絵本が並ぶ。小さな子どもたちはおもちゃを広げて遊び、ママたちはくつろいだり、スタッフと談笑したり。ポケットランドでは月、火、水の午前中はベテラン保育士が、金曜日午前中はカウンセラー(精神保健福祉士)が常駐し、育児相談やカウンセリングに応じている。午後は誰でも来られる子育てひろば「ひよこくらぶ」。土曜日には臨床心理士による発達相談などもある。
細部さんは名古屋生まれの名古屋育ち。結婚して夫の地元、根津に引っ越してきて、妊娠・出産したとき、かつてない孤独を経験した。当時勤務医だった夫はほとんど家におらず、自身も勤務医として働いていたが根津には友人が1人もおらず、つわりがつらかった妊娠中は、家に引きこもってゲームばかりしていたという。産後も子どもと2人きりの生活で一日一日がすごく長く感じられ、泣いてばかりいたそうだ。生後4カ月で保育園に子どもを預けて復職したが、同じ思いをほかのママにさせたくないと強く思ったのが、ポケットランドを開設した原点だという。
泌尿器科の夫に続いて、自身も小児科を開業。ちょうど上の階が空室になった2010年、念願の子育て支援広場を開いた。「ひよこくらぶ」は文京区社会福祉協議会のふれあいいきいきサロンに登録されており、親同士の交流の場だ。隔月第3木曜日は細部さんによるお話会と、交換バザーが開かれる。3月は17日(木)13時半から、「3・11を忘れない」をテーマに親子の避難品、備蓄について話すなど、毎回タイムリーな子育ての話題を提供している。交換バザーは、不要になった育児用品や子ども服を持ってきて、同じ点数持ち帰るというしくみ。
ほかにも、細部さんによるスキンケア・アレルギー教室や助産師による母乳教室、臨床心理士による発達相談といった専門相談もある。それだけでなく、外部団体「ちくちく」による手ぬぐいで子ども服をつくる会、多世代が集える映画鑑賞会や、チャイルドマッサージなど、様々な専門家や団体がかかわっているのも特徴だ。イベントのない日は、1家族500円でスペースを借りることもできる。飲食持ち込み、キッチン使用可能で、「仲間と子連れで飲食したいときなどに使ってほしい」という。また、短時間の一時保育や、1階の美容室と提携した一時保育もやっている。
「子育てに役立つ知識を得る場や交流の場として活用してほしい」と細部さん。フィンランドのネウボラのような、妊娠期からの切れ目ない子育て支援を目標にしているという。
ポケットランドの利用についてやイベントなどの詳細はサイトで。