〈特選!ご近所 茗荷谷界隈〉⑨道ひとすじに古書を仕分ける82歳/文献書院・倉庫兼仕分け場

 日差しの心地よい午後など、大塚三丁目交差点から茗荷谷駅方面に向かって春日通り沿いに降りてくると、積み上げた古本の前にどっかと座って、ラジオをかけながら本の整理をしている御仁をよく見かけます。
 ここは神保町の古書店、文献書院(千代田区神田神保町2丁目3)の倉庫兼仕分け場。仕入れた古書(古本)はここで店頭に出すもの、市場や古書交換会に出すもの、古書即売会に出すものを選り分けします。「ここは倉庫兼自宅」です。仕入れは週に1度、重さでは1トン近くの古書が毎回到着、多い時には月に6トンも入ってくるそうです。
 山田さんの仕事はまずジャンル別に本の状態を見ながら大雑把に分けてから整理、行き先や程度に応じて梱包テープでくくっていきます。6階建ての山田ビル、地階から2階まで古書でいっぱいだそうです。
  現在82歳、15歳の時に神田小川町の武内書店に「小僧で入ったのがこの商売に足を踏み入れた最初」。その後は本郷春木町の文省堂や神田の高山書店などで仕事を覚え、今の新大塚近くに間口2間、奥行き4間の「文献書院」を開いたのは昭和27年(1952年)のこと、若干17歳の時でした。 当時のお隣が先代の「一幸庵」だったそうです。
 最初は同じ古書店どうしの「仲間売り」が中心でした。新大塚の店売り自体は「芳しくなかった」ために外売を中心に、年6回ほど開催される神田の古書店即売会(ぐろりや会)、西武、東武デパート、池袋サンシャインなどで開催される古書展で販売していました。 途中、店を閉めることもありましたが、10年ほど経って「古本は古本でも分野を決めて日本一の専門店になる」と一念発起、「俳句」に関する古書を集めることました。今でも「俳句」や「現代詩歌」に関しては日本一 。全国から問い合わせも入るそうです。発禁となって該当ページが破られた萩原朔太郎の「月に吠える」なども扱ったこともありました。(今ネットで見ると65万円の値が付いていますね)。
 外から「さらっと」見ているだけではよくわかりませんが、奥の壁一面に積まれた書籍には確かにそれと見て取れる本がぎっしりとあるのがわかります。
 
 新大塚からこの場所に移ったのが昭和63年(1988年)のこと、今では仕入れた本の仕分けを一手に引き受け、神保町のお店とアマゾンなどの通販対応は娘さんに任せています。「仕分けは目利きでないと勤まりません。死ぬまで働くつもりです。」
 ちなみに神保町の「文献書院」(千代田区神田神保町2−3)は「ブンケン・ロック・サイド」という店名で「ロックやサブカルチャー」一色ですが、尋ねていただくと少し時間はかかりますが、該当するものがあれば、奥から「現代俳句・詩歌」の本も出してくれます。
文献書院 倉庫兼仕分け場
文京区大塚3−7−4 山田ビル
この記事は「ご近所 茗荷谷界隈」に2016年3月5日に掲載されたものです。