文京区の認可保育園の申し込み状況が公表され、募集定員に対して763人多い1886人の応募があることがわかった。特に0~2歳児は「激戦」で、912人の募集に対して1675人が応募。1、2歳児は2人に1人が入れないかもしれない。今春は7カ所の保育園が新設され、定員が395人増えたものの、子育て世帯の流入や入園希望者の増加に整備が追い付かない状況だ。「待機児童の少ない他区へ引っ越そうか」との声も聞かれる。
文京区認可保育園父母の会連絡会と文京区幼児保育課による2月5日の「保育のあり方協議会」の中で明らかになった。第一希望のみ、転園希望を除いた集計で、2016年度に比べて189人の増加となった。2015-2016年度の増加幅(261人)に比べれば減ったものの、幼児保育課では「ファミリー世帯の転入で未就学児童が毎年5%前後増えていること、保育園への申し込みの割合が増えていることから、当面需要増は続く」とみている。
区では認可保育園の新設を進めており、今年4月には1、2歳児だけの小規模保育園を含む7カ所が開園するが、需要増に追いついていない。2018年4月には、小石川運動場内に99人定員の園、千石3丁目の国有地に90人定員の園、同年度中に大塚3丁目の旧都営大塚アパート跡地にも保育園が新設される予定だという。
育休中の親たちは認可外保育園に申し込みをするなど、復帰に向けて必死だ。定員を上回る申し込みがあると、勤務状況などを点数化し、高い順に選考されるしくみだ。両親ともフルタイムの場合は26点が通常だが、きょうだいがいる場合や、すでに復職して認可外保育園などに6カ月以上預けている場合は加点される。このため、育休を切り上げて秋に認可外に預けて復職する親も多い。これまでは「勤務と同等の時間」預けていなければ加点されなかったが、2017年度の選考から「月48時間以上」預けていれば加点するように要件を緩和した。無理に週5日預け、保育料や子ども自身の負担が大きくなってしまうケースが多いためだという。
小石川に住む1歳児の親は、区のホームページで申し込み状況の数字(第5希望までの合計)を見て気が遠くなったという。会社は辞めたものの、元職場から在宅でできる仕事を回してもらうなど、自分のペースで働いてきた。本格的に就職するか、少しペースアップするか考え始めたところで、入園の申し込みはしていなかった。「これでは保育園に預けられそうにないから、働き方など選べない」と肩を落とす。幼稚園の入園も激戦だと聞いた。「この先を考えると、入園しやすい区を調べて引っ越した方がよさそう」と言う。こうした潜在需要は多いとみられ、数字に表れない「隠れ待機児童」も多そうだ。(敬)