こども向けからお年寄り向けまで、1つずつ丁寧に作るお弁当のお店 ~白山仲通り・はとや~

3月某日の昼下がり、文京区役所のある春日から白山の方向へ向かって白山通りの1本右側、通称「白山仲通り」を歩いておりますと、通りかかった原付から「どこいくの?」と声がかかります。「はとや」の店主、友枝さんではないですか。注文のお弁当を届けに行く途中だそうです。私をみかけてわざわざバイクを止めて声をかけてくれたんですね。近所付き合いの細くなっている東京では、なかなかこういうことはありません。ちょっと、はとやさんへ寄ってみましょう。

 

朝の早い工事関係の職人さんのために6時半からお店を開け、お昼はご高齢の方のためにお弁当を1つから配達しているのだそうです。「ひとつからの配達は採算が合わないからやめた方がいいってよく言われるんですけどね、おつきあいですから」と友枝さん。注文によってはアレルギーになる食材を材料から外したり、硬いものが食べられない人には柔らかく調理したりといった調整をしているのだとか。「大手にはできないことをしなければ残っていけませんからね」と。学童保育へ届けるお弁当では、シイタケやニンジンが嫌いな子がいるので、細かくメモを取っているのだそうです。そこまでやりますか!

お弁当はフライミックス弁当が税込み280円など、お財布にもやさしい価格帯のものから、肉じゃがのようなお惣菜の単品など、種類も豊富。左手の棚にはサンドイッチもいろいろな種類の詰め合わせで用意されています。

隠れた人気メニューが「牛すじカレー」。ごはんは家にあるのでカレーだけくださいと、お鍋を持ってくる人もいたりして、容器の分だけ多めにいれてあげるそうです(笑)。はとやさんのカレーはまさに「日本の家庭のカレー」といった感じで私もファンです。ずん胴の鍋で毎日作るそうですが、その日は既に売り切れでした(残念!)。

実は、はとやさん、現在の区民センターが改装される前の真砂市場で営業していた伝説のパン屋さんでありまして、「真砂市場 はとや」でインターネットを画像検索すると、当時の写真が沢山出てきます。真砂市場では、近くの尚美学園の学生さんなどからも人気で、市場が閉鎖になる時にはさよならコンサートまで開かれたそうです。その創業はなんと昭和20年頃といいますから、70年も続いている歴史のあるお店なんですね。創業当時の写真を見せていただきました。右側が友枝さん、左はお兄さんだそうです。

そんなこんなで世間話をしていると、かわいいワンちゃんを連れた近所の方がお店の前へ。すると友枝さんはテーブルの下の袋からサンドイッチを作る時に切り落としたパンの耳を取り出してニコニコしながら「今日のパンじゃないと食べないんですよ」と。このワンちゃん、「マユゲ」と呼ばれていて近所の小学生にも人気なのだとか。

御歳70を越えてなお精力的にお仕事をされる友枝さん、お店で作った料理を近所のみんなで食べられるようなスペースを作るのが目標だそうです。すごい!商店街がどんどん廃れていくこのご時世ですが、私もそういう場所があればいいと思うことがよくあります。まだまだがんばってくださいね、私も白山に通いますよ!

「はとや」

文京区白山1-11-9
電話 03-3811-8180