この男、銭湯界にイノベーションを起こすのか!?大黒湯・岡嶋登氏と文京浴場組合の取り組みを大公開!

先日レポートした大黒湯の記事をお読みいただき誠にありがとうございます。
え、読んでない? とても特色のある銭湯なので、ここからぜひお読みくださいね。
前回は茗荷谷の大黒湯の情報をお伝えしたのだが、ご主人の岡嶋登さんが銭湯の経営をしながらも実は文京浴場組合の支部長も務めていることが取材中に判明し、結果的に大黒湯の話だけでなく組合の取組みについてもたくさんの話を聞けることとなった。
(というよりも岡嶋さんの熱の込め方でいうと、組合の話のほうが中心だったと言ってよい)
棚からボタ餅とはこのことだ!というわけで、今回は文京浴場組合の支部長を務める岡嶋さんと組合の取組みをお届けします!
大黒湯に取材に行ったときに、面白いなあとまず感じたのは壁に貼られたポスターだ。
ありそうであまりないようなポスター。「No Sento, No Life?」「潜っても 女湯には 行けません」などののきわどいところを攻めたコピー。銭湯としては相当ユニークである。
このポスター、訊くと岡嶋さんが中心となって企画したものだという。
文京区内の銭湯をPRするポスター。モデルは岡嶋さんのお知り合い、写真撮影を担当したカメラマンのお子さん、同じ文京区内の富士見湯のご主人など
岡嶋さんは2015年5月に文京浴場組合の支部長に就任した。
「まずは家族連れに来て欲しい。」
「文京区という地域の歴史や良さを活かして浴場組合のアピールをしていきたい。」
「入浴は体温を上げ免疫を高める働きがある。それを多くの人に経験してほしい。」
「他の区からも是非来てほしいがまずは足下の需要を再度掘り起こす意味で区民の方にお風呂に入りにきてもらいたい。」
支部長に就任以来、岡嶋さんはこういった目標を達成する方法について考えてきた。
そして様々な企画を連発する。
冒頭で紹介したポスターはその一部で、イベント、文京区の銭湯のキャラクター、景品、スタンプラリー用のオリジナルスタンプ、これらを企画しまくっている。また、後述するが自らモデルもやっている。
企画の一部を順に紹介しよう。

<イベント>

①「銭湯探偵団」

昨年(2016年)の8月に、近隣の小学生向けのお風呂屋さん体験教室イベント「銭湯探偵団」を企画・実施した。
夏休みの時期で自由研究のテーマにもよいだろうということで、小学校高学年の子ども達を大黒湯に招き銭湯の仕組みや仕事などを体験してもらう。子ども達にとっては社会勉強になり、地域貢献の位置づけもある。
このイベントは非常に好評だったそうで、定番化して今年以降も引き続き実施することを検討しているという。

銭湯探偵団のポスター

②「スタンプラリー」

2016年9月~12月にはコミュニティバスの「Bーぐる」とコラボしたスタンプラリーイベントの「Bーぐるで行こう! 文の京 坂と銭湯ゆったり巡り」を開催した。スタンプを集めてもらえるオリジナル景品も用意する熱のこもったイベントだ。
イベントのPRチラシには文京区らしい坂のイラストが入っており、これは実際に目白台にある坂をモチーフにしている。「このイベントに限らず、文京区という地域の良さや特徴と絡めて企画しています」と岡嶋さん。
スタンプラリーイベントのPRチラシ
スタンプラリーの際に配られた文京区内の銭湯紹介の折りたたみ資料。裏面はBーぐるの地図になっている
スタンプラリーをあつめてもらえる景品

③「月次のイベント」

組合に加盟する銭湯合同で月ごと(他イベントと重なる等の都合で実施されない月もあり)のイベントを実施している。なお、2017年1月は生りんご湯だった。
色々な意味で「攻め」の生りんご湯PRポスター。なお、モデルにも注目されたし(笑)。

<キャラクター>

お次はキャラクターだ。文京浴場組合には文乃ゆ太郎というキャラクターがおり、あちこちのチラシやHPに顔を出す。
キャラクター名は、2016年11月開催の文京博覧会の来場者の方にアンケートし3つの候補の中から選ばれた。(当初は名字がなかったが、名字もほしいという意見も多く「文乃」という名字がついたとのこと。また、ゆ乃姫というキャラクターも併せて作られた。)
のれんをくぐるゆ太郎
ひな祭りの湯ポスター内のゆ太郎、ゆ乃姫のツーショット。

<オリジナルスタンプ>

東京浴場組合全体の取組みで「東京銭湯 お遍路巡礼スタンプノート」という都内の銭湯の企画(文京区内のスタンプラリーとは別の企画)があり、東京都内の各公衆浴場にシンプルなスタンプが配られたのだが岡嶋さんはこれをアレンジする。消しゴムハンコ作家の十四三(としぞー)さんに依頼し、文京浴場組合加盟の6銭湯のオリジナルスタンプを作った。
オリジナルスタンプが印刷されたタオルをクローズアップ。大黒湯のスタンプにはシンボルの八角形の窓が描かれている。なお、富士見湯のスタンプには可愛らしいタヌキが描かれている。これは富士見湯が昔から「タヌキ湯」という俗称で呼ばれていたかららしい
どこからこういう企画力とバイタリティが出てくるのか興味がわいてきたのでキャリアについて伺ったところ、岡嶋さんは若いころから家業の銭湯経営に携わってきたわけでなく2009年まで会社員として働いていたのだという。
「会社員時代はショッピングセンターの運営に関わる仕事をしていました。銭湯の仕事を始めて見えてきたのは、自分の会社員時代の仕事と銭湯の仕事にはPR、イベント企画、景品作り、接客など意外にかなりの共通点があること。」と岡嶋さんは語る。
浴室でのイケてるポーズの秘密が分かったような気がした。
岡嶋さんや文京浴場組合の尖った取組みは東京都浴場組合の中でも注目を集めており、東京都浴場組合のウェブサイトでも岡嶋さんが企画したポスターやイベントがたびたび取り上げられてきたそうだ。
はっきり言えば多くの家にお風呂やシャワーが完備された現代において銭湯の位置づけはかつてとは大きく変わってきており、銭湯に来る人の数は残念ながら昔よりも明らかに減っている。
文京区にはかつて50軒ほど銭湯があったが、現在は6軒だ。
だが、そこに対して従来にはない形で挑む岡嶋さんと文京浴場組合の取組みは実に興味深く、実に熱く、そして実に応援したくなるものだった。
(永本真一郎)