人が、いない。
普段ならまっすぐ歩くのが困難な東京ドームシティ。イベントは中止、ショップも遊園地も当面営業休止で、ゴールデンウィーク真っただ中でも人影が消えた。人がいないドームなんて、前代未聞だ。東京ドームならぬ、ガラガラドームを歩いてみた。
会う人はランニングする人ぐらい。
後楽園駅から続く歩道橋も、人影なし。丸ノ内線もガラガラ。人がほとんど乗っていない。
ヒーローショーも中止。轟音とキャーキャーと振動で存在感たっぷりだったジェットコースターも、観覧車もやっていない。
うんこドリルとのコラボイベントも中止になった。うんこのペナントが寂しそう。
東京ドームホテルの脇の水道橋方面への通路には、たくさんのこいのぼりがいた。
人が、いない。いや、いたけど、写真を撮りに来た人みたい。風が強い日で、バタバタと音をたてながらこいのぼりたちは激しく泳いでいた。街が静かすぎるので、「泳ぐ音」が聴こえたのかもしれない。
飲食店街はお店が閉まっているので無人。
ふと1階を見たら、お店の前の露店のテーブルとイスには結構人がいた。それぞれ距離をとりながら、くつろいでいる様子。ここはガラガラじゃないドーム。
もうひとつ、ガラガラじゃないドームを見つけた。スーパーとドラッグストアは開いている。入場制限か、距離を取りながら列をなしていた。
ショーウィンドー越しにみるラクーアのショッピングセンター内も、商品にはカバーがかぶせられ、棚が空っぽのところもあって、ただでさえ入れ替えが激しいのに、もしや閉店か?と勘ぐってしまう。マネキンも後ろ向きで裸のまま。ちょうど衣替えだったのだと思うことにする。
誰もいないドームに、煌々と輝く電光掲示板の映像がむなしく感じられる。
しかし一歩ガラガラドームから出ると人はかなり、いる。ガラガラドームだけが無人。「遊ぶ」「食べる」という目的がかなえられないから、人は来ない。目的を失い、目的を求めて、街中をさまよう人が増えたように思う。(2020年5月3日記録)