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ハロウィンの日、HONGO22515が木質化で生まれ変わった

10月31日、ハロウィンのこの日、“HONGO22515”ーー壱岐坂上の手前を左に入った裏道にあるコミュニティスペース。一部の界隈では“タケガタハウス”の名前で知られている――は木質化作業が行われ、まるで仮装ではないかと思ってしまうほどの生まれ変わりを果たした。

木質化を果たしたのは、以前アルミ製の玄関扉とコンクリ―トの駐輪場だったスペース。木製の扉と新たに駐輪場に設けられたテラスからは、木材の温もりと落ち着きが伝わってくる。心なしか、親しみやすさも増したようだ。

海田さん

今回の木質化を手掛けたのは“カイダ設計事務所”の海田修平さんと“株式会社きよたけ建築工房”の真銅丈昇さんら“東京山の上大学・森と木と暮らしゼミ”のメンバーと有志のボランティアの方たち。作業は同ゼミの活動“文京区木質化計画”の一環として行われた。

真銅さん

“東京山の上大学”とは「東京・山手線の上半分あたりの街の活性化と、何かをはじめる人を応援する」市民大学。大学という名前だが、学校教育法上で定められた正規の大学ではない。市民や地元の商店・企業が主役となりそれぞれがテーマを持ち寄り、自分たちの学びを追求する場であり、気軽に参加できるのが、学校教育法上で定められた大学との違いだ。近年はこういった場が全国各地にできあがりつつあり、それの山の手線上半分エリア版、とイメージしてもらえるとわかりやすいだろうか。

大学内には複数のゼミが存在し、“森と木と暮らしゼミ”はそのうちの一つ。「多くの人に、温かみの森のこと、木のこと、日々の生活を取り巻く環境のことを知ってもらい、山の上エリアを温かみのある木に触れられる街にしてきたい」という目標を掲げている。“文京区木質化計画”は、彼らの活動の一つで、「大消費地である東京で木を消費し、東京の森だけでなく日本全体の森を守る」という内容だ。

竹形さん

DIYされた“HONGO22515”(本郷2-25-15 宮崎ビル1階)は竹形誠司さんが運営しており、自身のオフィスや文京経済新聞編集部の事務所、そして地域活動の場として使用されるなど、様々な人が繋がる地域の拠り所となっているスペース。これまでにも、文京区の多くの地域活動グループを巻き込んだ“文京まちたいわフェス”の事務局など、数々の地域の活動に寄与してきた。

今回の“HONGO22515”木質化イベントは「これからもっと、“HONGO22515”を地域に開かれたコミュニティスペースにしていきたい」という竹形さんの意向と、前々から関わりのあった、“東京山の上大学・森と木と暮らしゼミ”の活動目標が結びついた結果、行われたもの。同ゼミでは、以前も“文京区木質化計画”で近隣のカフェ“デイジービーンズ”の木質化を行っている。

作業は午前中から行われ、玄関上部に板を張り付ける作業から始まった。一枚一枚、丁寧にカットし、壁面にはりつけられていく木材。表皮や丸みが残った趣きのある辺材は、あきる野市の製材所から譲り受けたもの。

その間にも事務所内では、玄関扉が製作されていく。こちらの木材は、真銅さんが現場で余った木材を再利用したというストーリーがある。鉋(かんな)をかけ、やすりで削られた表面は驚くほど滑らかで、ささくれ一つない。まさに職人の技だ。

テラスを組み立て、玄関のドアをいままでのアルミ製のドアから真銅さんらが製作した木製ドアに付け替えたところで、この日の作業は終了。進行度的には8割といったところだが、雰囲気は一変し、より開かれた印象となった。今後、テラスを増築、各所の手直しをして作業は完了となる。

竹形さんは「住んで楽しい街には何が必要かを考えながら、路面の1階に借りた事務所を少しずつオープンな形に作り変えてきました。今回の木質化をきっかけに、色々な人が集まって濃い活動ができるようなスペースにしていきたいです。」とコメントしてくれた。

使用した木や今回のイベントに参加した人、多くの縁が組み合わさって生まれ変わった“HONGO22515”。醸し出される温もりと柔らかさ、そして包み込むような優しさは、地域の拠り所であるこの場所にピッタリだ。

“HONGO22515”は、毎週日曜日がオープンデイとなっている。訪れたことのある人も初めての人も、この機会に立ち寄ってみてはいかがだろうか? 想像もできない新たな繋がりが、あなたを待っているかもしれない。(タカハシコウキ)


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