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小1の壁、どうする?選択肢は昔より増えたが/学童トクトクトークオンライン

子どもが小学校に入ると、家庭と仕事の両立が難しくなる!?――いわゆる「小1の壁」をどう乗り切るか。先輩パパママが経験を語る「学童トクトクトーク」がオンラインで開かれた。さきちゃんちpetitの主催で、約50人が参加し、関心の高さをうかがわせた。

文京区には保育園のように専任の職員が決まった子どもたちをみる育成室(学童保育)が41室あるが、需要に追いつかなくなってきている。保育園に通えるのは3月31日まで。4月1日から入学式までの間は、育成室に入れたら預かってもらえるものの、そうでなければいきなり行く場所がなくなる可能性がある。育成室のほかには、学校の施設の一部で遊びや自主学習ができる放課後全児童向け事業が20校にあり、誰でも利用できる児童館が16カ所。東京都の要綱に基づき文京区が補助金を出して長時間保育をする都型学童クラブも4か所あり、ほかに民間学童もある。

トクトクトークでは、先輩たちの経験談が披露された。育成室は、学校が終わるとランドセルを背負ったまま入室し、そのまま過ごせる。おやつも提供される。利用料は月1万円で、おやつ代が月2000円だ。「マンガを読む、友達と遊ぶ、ホールなどの遊び場で体を動かすなど自由に過ごす。習い事がある子は早く帰るが、勉強の時間もあり、18時と18時半に先生の引率で集団退室する」と育成室利用者。

小1と小3の子を持つ母親は、放課後全児童向け事業と児童館を利用しているという。 育成室との違いを図解してくれた。 フルタイムで働いていたが、子どもが育成室になじむかどうか心配だったので、放課後全児童向け事業を選択。「ただし小1は学校になじんでからでないと利用できず、5月からとなるのでご注意を」。自身はその半年前からずっと会社に「4月に有給を取る」と何度も伝えており、本当に1カ月休んで対応。勤務時間も9時から16時に変更し、さらには仕事も変えたという。放課後全児童は保険料年間800円で利用でき、児童館は無料だ。

育成室に入れなかったという父親は、「結果的にはいろんな居場所があり、深刻に悩むことはなかった。選択肢は検討しておいた方がよいけれど」と振り返る。親としては、学校内で完結する全児童向け事業がいいと思うが、子どもは行きたがらない。「子どもによって合う、合わないがある。児童館をよく利用する。プールや茶道、アートなどの習い事のほか、週1日民間学童にお世話になっている」という。でも子供が一番気に入っているのは自宅で、「家でごろごろ過ごしたいと言っている。端末を持たせて居場所がわかるようにしている。子どもが過ごしたい場所をしっかり考えてあげる方がよいと思う」。

都型学童クラブは保育園並みの預かり時間で、夜は21時まで、夕食も出る。区の補助金で運営しているため、利用料も3万円台だ。その他の民間学童は送迎がある、長時間保育、英語や科学などの習い事や夕食があるなどサービスは多様だが、その分利用料は高くなる。

(マンガを読む=ツリー・アンド・ツリー

地域密着型民間学童保育の運営者で高1と小1になる子どもを育てる母親は「10年前に比べると選択肢が増え、放課後の居場所が多様化している」という。育成室だけでなく、放課後全児童や児童館、習い事、民間学童などを組み合わせて利用することが可能になってきた。「子どもは意外に早く適応する。今親が思っているよりできる場合もある。心配しすぎないで」とも。ITツールがいろいろ出てきて、子どもがどこにいるか追いやすくなった。インターネットカメラで子どもの様子をみながらチャットができる機器もあるという。そして、6年ほど学童を運営してきて思うこともある。「親が子どもにしてほしい過ごし方と、子どもが過ごしたい過ごし方は往々にして違う。英語もプログラミングもというのが親心。でも、いまの子どもは誰にも支配されない時間がほとんどない。何かに没頭している時間、子どもはいい顔をしている」。放課後こそ落ち着く時間、空白の時間、創造性、社会性をはぐくむ場が必要だと考えるようになった。「子どもが自分でやりたいことを決めてやる時間があれば、子どもが伸びるのではないかと思う」

(思い思いの放課後=こどもの森せんだぎ

育成室は厚生労働省、放課後全児童向け事業は文部科学省といった管轄の違いや目的の違いの解説もあった。参加者からは「情報が得られてよかった」「わかりやすかった」と好評だった。(敬)


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