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クラフトビールめぐり③飲んでブルワーの思いを汲み取ろう!お店に行けば語ってくれる/新月ビアが飲める牛込ビール館

ビールが入ったグラスが牛の顔に見える。牛込神楽坂から徒歩3分ぐらいのところにある「牛込ビール館」のロゴがかわいくて、一緒に飲みに来た熟年女子は「わー、かわいー」と思わず歓声をあげてしまった。

おしゃれでシックな空間に、静かなたたずまいの若い店主がいる。「取材ですか? 兄を呼んで来ます」と青柳知也さん。しばらくして現れた兄の青柳遊大(ゆうた)さんが、隣接する小規模醸造所「新月ビア」のブルワー(醸造士)だ。そもそもこのお店は朝から両親が営む定食屋「青柳」で、夜間は知也さんが「牛込ビール館」として運営、遊大さんが作る「新月ビア」のクラフトビールを提供している。


実は、取材は断られた。「先入観をできる限り排除した状態でビールを飲んでもらいたい」「表現はビールを通して行う」という考えのもと、「経歴、ビール作りに対する考え方等は公表せずに活動している」とのこと。というわけで「以上。」なのだが、そこは食い下がって、醸造所を見せてもらった。店の裏手にある。


材料をお湯につけたり煮込んだりして「ビールのもと」を作る仕込みタンクは奥に。それを醸造するタンクは6つある。

6種類のビールを1カ月ほどかけて醸造するわけだ。さらに熟成タンクで熟成させる。できあがったら金属製の樽に詰めて出荷。お隣の牛込ビール館や、クラフトビールを提供するビアバーに卸している。


醸造を始めたのは2021年の夏。試行錯誤しながらいろいろつくっているが、作る割合が高いのはアンバーエールだという。アメリカンホップを使い、濃いレッドや琥珀色をしたビールだ。今しか飲めないスペシャルビールとして、1周年記念のアンバーエールを提供している。


口数が少ない遊大さん。よくよく聞けば、「不特定多数に向けて言いたくない」という思いがあって、インタビューは受けないそうだ。つまり、不特定多数でなければよい。飲みに来て、遊大さんがいれば、語ってくれるというわけ。しかし、私が話を聞くと絶対書きたくなるため、自制した。


まずは飲んで、遊大さんの思いを汲み取り、表現を感じようではないか。メニューをみると、ビールは6種類あり、3種類飲める飲み比べセットがある。これを活用して、全種類味わい、最後に一番気に入ったのを飲もう、と決めた。


メニューの上から順番に頼んだ。やはり、「看板」がアンバーエールだけに、①のアメリカンアンバーエールⅡはおいしい。同行者もみな気に入っていた。②のコーヒーオートミールスタウトは、コーヒーを副原料に使用。コーヒー?と思ったが、ビールとコーヒーの苦みはフィットすることがわかった。⑤のヘイジーIPAは「トロピカルな甘いアロマ」と説明書きにあり、同行者女子の好みのタイプのようだった。


ビールの主な原料はモルト、ホップ、酵母と水。青柳さんによれば、ホップの量が多いと苦味が強いが、入れるタイミングによっても苦味が違ってくるそうだ。ヘイジーIPAは苦くないがホップが多いという。メニューにIBUと書いてあるのが苦味のおおざっぱな目安だといい、数値が高いほど苦味が強い。


色はモルトで決まるそうだ。小麦だと色が白くなるといい、③のペルジャンホワイトは小麦を使っているので白い。一般的にモルトの量が多いとアルコール度数が上がり、味も濃くなるという。そんな話を聞きながら6種類飲んでみて、自分の好みは①と④だったので、モルトやホップが多いタイプのビールなのかなと思った。しかし、飲むときの気分によってお酒の味は変わるので、その日その時の好みがこれだったということか。


いろいろ飲んで自分の好みを発見するのは楽しい。それにしてもなぜ「新月ビア」なのだろう。ロゴも新月だ。次は取材ではなく、普通に飲みに行って遊大さんをつかまえて、語ってもらおう。(敬)


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