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「まいっか」が言えず大失敗!?「注文をまちがえるもったいない野菜マルシェ」に行ってみた

根津駅から弥生坂をあえぎながら上る。やっと上がった~と思ったあたりの右手にある「ケアギルドトーキョー」で9月21日(日)、「注文をまちがえるもったいない野菜マルシェ」(趣旨など過去記事参照)が開かれた。

外の参加チケット販売の列に並びながら、店内をのぞくと、認知症を持っているらしいホールスタッフの方々とケアギルドのスタッフ、学生さんを含むボランティアで店内はいっぱい。

「打合せ中ですか」。ドアから出てきた一人に聞くと、「今、トレーニングしているところです」とのこと。どんな練習か聞きたかったが、遠くてよく聞こえない。

担当は、パンフレットを渡す人、オーダーを受け取りカウンターに伝えテーブルに運ぶ人、くじ引き引いてもらう係の人。認知症を持っているらしい方は合計6人。支えるスタッフはたくさんいるようだ。トレーニングの中身は、もしお客様が、「注文したけど、まだ来ません」。とか、「注文した品物がたりないのですが」。そのような質問があったら、どう答えるのか、パンフレットの渡すときやくじを引いてもらうときのコミュニケ―ションなど、いろいろなやりとりを試しているようだった。

店内には野菜を使った手づくりのお惣菜が、ウインドウやカウンターや棚に所狭しと並ぶ。

店のテーブルは2人掛けが4つ、1組とどまれるのは15分までと決まっているが、かなりの順番待ちになっているので、表に出て不揃いの野菜を見にいく。

野菜を売る方は、「全部、福島県の真ん中、安達太良山のふもとにある大玉村の野菜なんですけど、安達太良山の湧水が豊富なので、それを農業用水として使っています。昼と夜の寒暖差もあって、お野菜やお米がおいしく育ってくれます」と威勢のよい声で説明する。

米、じゃがいも、ピーマン、しろなすや水ナス、ししとう、みょうが、おくら、ゴーヤなどがつややかに並ぶ。キュウリ3本、坊ちゃんカボチャ、玉ネギ、桃、梨を買ったが、いうまでもなくおいしかった。

代表の飯塚裕久さんは、「30カ所で今日、『注文をまちがえる料理店』を開催しているのですが、ケアギルドでは、『ちょっと不揃いだけどちゃんとおいしい野菜。ちょっと忘れてもちゃんと生きている人。これが重なり合ったら最高じゃない』ということで、『注文をまちがえるもったいない野菜マルシェ』に取り組むことにしました」という。

「認知症状をお持ちの方と市民がコミュニケーションをとる機会がない中で、この取り組みでそういった社会課題を解決できて、普通に楽しいかかわりが持てるようにしたい」と飯塚さんは思っている。

間違ったら袋叩きにする社会ではなく、「ま、いっか」と受け止められる社会にしたい。

さて、テーブルに座れる順番が回ってきた。席に着き注文票を手渡す。すぐにジンジャーエールと、ナスときゅうりとみょうがのつけもが運ばれてきて、おいしくいただいていると、ジンジャーエールがもう1杯運ばれてきた。

「ま、いっか」は「今でしょ!」。なのに、、、2杯頂いては申し訳ないという思いが先に立ち、「あ、もういただきましたよ」と言ってしまった。大失敗。でも結局は喜んで2杯いただいた。(稲葉洋子)

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