小石川の歴史刻んだスタジオが育む交流の場/「妖精たちの作品展」ナカムラスタジオで開催

着物をリフォームしたスーツや手作りのビーズブローチ、ストラップ……主婦らの手仕事による雑貨の展示即売会「妖精たちの作品展Ⅶ」が12月4日(木)から8日(月)まで、小石川2丁目(小石川大神宮斜向かい)のナカムラスタジオで開催されている。写真家中村俊二さんの撮影スタジオを、妻の一二美さんが2011年に改装し、ギャラリーや教室などのイベントにも利用できるようにした。その年の12月、一二美さんが、織物を手がける学生時代の友人に呼びかけ、手作り雑貨の展示販売会を開いたのが始まりで、今回が7回目。一二美さんの友人ら首都圏の7人が出店している。

スタジオ展示会

 

ナカムラスタジオの歩みは、小石川の産業である出版・印刷や、写真の歴史と共にあった。もともと、共同印刷のカメラマンだった俊二さんの父が独立して始めたモノを中心に撮るスタジオ。俊二さんも父の跡を継ぎ、編み物をやる人ならだれもが知る日本ヴォーグ社が当時伝通院近くにあったことから、編み方の工程(プロセス)の一つ一つを載せた解説書の写真を多く手掛けてきた。趣味としての編み物や手芸が一般に広まった時期で、出版物も作れば売れる時代。手芸の流行に合わせ、キルトや押し花アート、陶器などの写真や、料理写真も撮ってきた。

スタジオ外観

「額のガラスを反射させない撮り方とか、いかに料理をおいしく見せるかとか、フィルムやライトの使い方が腕の見せどころだった」と俊二さん。俊二さんが父と手がけた刺繍の教科書などは、刺繍の感触が伝わりそうな実物感たっぷりの写真だ。しかし、1990年代、フィルムからデジタルへの急速な変化が、写真や出版、印刷業界に大きな変革をもたらした。デジタル化によって撮影後の修正が簡単にできるようになった。「手間暇かけても、仕上がりはデジタルと変わらない。なんだかね・・・」と俊二さん。

 

スタジオ内部

一二美さんは、スタジオを使わない日を活用したい、と考えていた。子育ても終え、常々、手仕事をしている仲間の発表の場があるといいと思っていたからだ。展示会を開いてみると、たまたま通りかかった人や、出店者の仲間が集うなど、人の輪が広がった。1年半前からは、月2回、82歳の講師を招いて着物のリフォーム教室も開いている。一二美さんは「展示会で見てリフォーム教室に来るようになった方もいる。近所の人や、仲間の仲間がきて、交流の場になっている。それが楽しみ」と話している。(亀)