今年のお盆は、かつてないほど静かな我が家。なぜかといえば、にぎやか担当の息子がキャンプに行ってしまったから。コロナコロナで叶わなかった息子の3年越しの願いがやっと叶ったわけですが、息子がいない時間がこんなに寂しいものになるとは……。留守の間に辛~いタイ料理を作るぞとかミシンも出しちゃうぞとか、お一人さま時間をあんなに楽しみにしていたはずなのに。
考えてみれば、親にとっても初めての「息子のいない3泊4日」。実家の母に息子ロスなるLINEを送ると、「いるとわちゃわちゃするけど、子どもって不思議な存在だよね」と返信が。ああ、母もこんな気持ちで子どもたちを送り出してきたんだなと思うと同時に、ふと幼いころの景色がよみがえってきました。
あれは、2歳か3歳ごろのこと。鬱陶しいほどの蝉の泣き声と、玄関で大泣きする女の子。「みずほちゃん、来年は一緒に行けるからね」と困り顔のおばちゃんと、弾む声で「行ってきまーす!」と駆け出す年子の兄のリュック姿。ポツンと取り残された私と、お勝手に戻る母。
その後、お勝手の母を追いかけ、腹いせに(?)大好物の桃を皮ごとまるかじりしたものの、桃の汁だか涙だかわからないもので顔も洋服もぐちゃぐちゃになり、それがますます悲しくて……そこで記憶がプツンと途絶えます。きっと泣き疲れて寝てしまったのでしょう。
なんだか久々に、あの本が読みたくなりました。
『はじめてのキャンプ』
林 明子 さく・え
福音館書店
「ちっちゃいおんなのこ」なほちゃんが、大きい子どもたちと一緒にキャンプに行くお話。いとこの中でもいつも「年の離れた末っ子」だった私にとっては、特に共感の多い1冊です。いつもちっちゃい子扱いされるのが嫌で、他のいとこたちと同じように扱ってほしくてあれこれやせ我慢をしてみたり、ね。
ちなみに、実家では「みずほの桃事件」がたびたび笑い話として語られてきましたが、あれは嫌だったなー。だって、本当に悲しかったんだもん!
(OSAGARI絵本・伊藤みずほ)