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気まぐれ寺社探訪/紅梅香る牛天神 北野神社

梅が一足早く見ごろを迎えている。文京区で梅といえば湯島天神。梅まつりが有名だ。小石川後楽園も小石川植物園も、六義園も、梅がたくさんあって、各種イベントも開かれている。その中では地味で小さいけれど由緒あるのが後楽園・春日駅徒歩10分ほどの「牛天神」こと北野神社。2月25日まで、紅梅まつりが開かれている。

天神といえば言わずもがな、学問の神様、菅原道真公を祀っている。梅を愛したと伝わるため、各地の天神様には梅の木が植えられている。丑年生まれで、牛に縁が深いことから、たいていの天神様には寝そべった牛、臥牛も見られる。

牛天神にも牛がいるが、有名なのは牛の形をした「なで石」。境内にある説明によれば、源頼朝公が東国追討のとき、ここで休息していたら夢に牛に乗った菅原道真公が現れ「二つの幸あらん」と告げた。目覚めると夢で道真公が載っていた牛に似た岩があった。その後頼家が生まれ、平家が滅びて国を平定し、「二つの幸」がかなったことから、神社を立てたのが牛天神の始まりだという。牛に似た岩は「ねがい牛」として祀られ、なでると願いがかなうと言われている。

「先ず願いながら真心を持ってねがい牛の頭の部分を撫でさすり、心に念じつつ何事も唯々誠心誠意純真な気持ちを持って夫々にお願いをしてください。天神様は、聞とどけて下さるでしょう」という木の看板が立っている。念じながら頭の部分を撫でさすってみた。

ふと上の梅の木をみると、メジロが花の蜜を吸っていた。

樹齢100年超という木斛(もっこく)がご神木だ。紅梅が映える。真剣に心をこめてお願いすると必ず願いが叶う、そうだ。

牛天神の表参道には長い階段がある。その北側には「牛坂」という坂もある。牛石(ねがい牛)が名前の由来だとか。

社は高台にあり、「今の大曲のあたりまで入り江があったと考えられている」そうだ。高台なので富士山が見えたらしい。葛飾北斎の富嶽三十六景「礫川(こいしかわ) 雪の旦( ゆきのあした)」はここで描かれたという。牛天神のサイトには考証記事も載っている。

江戸時代、水戸光圀公から5本の桜の木が奉納され、そのうちの1本が枯れずに境内にあるという。ちなみにここは東京ドームの氏神だそうだ。

芸能の神を祀る太田神社などもある。境内は小さいのに、見どころ満載だ。2月18日は献梅祭があり、野点や天神太鼓も披露されるという。(敬)


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