Close

認知症の人も走ってタスキをつないだ!ケアマネのマツケンサンバあり、イベント盛り盛りRUN伴文京区2024

「生きててよかった~」。高齢者施設の利用者が車イスに座って、満面の笑み。グッドライフケアセンター向丘の前で、車イスの高齢者らが「頑張って!」と書かれた横断幕を掲げて、徒歩で参加した施設利用者やランナーを迎えていた。

認知症の理解を深め、認知症になっても暮らしやすいまちをつくることを目的に、当事者や地域住民、企業等が関係者と一緒にタスキをつなぎながら走るまちづくりのイベント「RUN伴(らんとも)文京区2024」が11月17日(日)に開かれた。今回は若年性認知症の男性が東コース約10キロを完走するなど、施設利用者や当事者の参加が多かった。

「施設と居場所をつなぐ」「子どもからお年寄りまでごちゃまぜ」をテーマに、区民有志の実行委員会で企画・実施。区内東西2コースに分かれて、地域の居場所や高齢者施設をタスキリレーの拠点としてつないだ。

小石川ヒルサイドテラスでも利用者が出迎えた

ランナーや、一部区間を徒歩で参加した施設利用者らは計約110人、各拠点ではイベントも実施したため、応援などにかけつけた人やスタッフを含めると合計約400人が参加した。

タスキには、ランナーや応援者が書いた名前のラベルが貼られた

朝9時過ぎに、礫川公園で開会式。公園内はテーマカラーのオレンジで埋まり、道行く人の注目を集めた。成澤廣修区長らのあいさつのあと、選手宣誓をしたのは、区外在住の若年性認知症の男性だ。普段から週3日ぐらいは走っているという。

「認知症でも走れる。できないこともいろいろあるけれど、こういうすばらしいまちで、オレンジをまとって、元気に走れる。そういう姿をみなさんに見せて、認知症でもできる、ということを見ていただきたいと思います。がんばりましょう!」

RUN伴文京区2024のために作成したオレンジのTシャツの中央には「伴」の象形文字。認知症の方が書いた字をデザインした。下のRUN伴の「伴」の字もやはり、認知症の方が書いた文字だ。

カウントダウンと同時に、各コース10人余りのランナーが東西に分かれて出発。

同時に始まったのはマツケンサンバだ。文京区内のケアマネら介護、医療関係者で結成されたグループで、かつらを着け、金の法被を着て金のポンポンを振って盛大に踊り、盛大に見送った。

東コースは、小規模多機能の高齢者施設や有料老人ホームなど5カ所と、「こまじいのうち」や「動坂テラス」など4つの居場所やカフェを結び、西コースは9つの高齢者施設などと、5つの居場所やカフェなどを結んだ。両コースとも、「ワークスペースさきちゃんち」でルートは合流し、同じ道を走ったり歩いたりして、ゴールの礫川公園をめざした。

東コースの動坂テラスと、西コースの「コドモカフェオトナバーTUMMY」では、手打ちの「ビリーうどん」が各60食ずつふるまわれた。打ったのは、2023年のRUN伴+文京区のコースを監修した「顔マラソン」創始者の浜元信行さん。

浜元さんは本業は出版社の社員だが、「工作室もくもくはりねずみ(通称もくはり)」にもかかわったり、うどん打ちを修業し、単発の「ビリーうどん」店をやったり、多彩な活動をしている。この日のために120食分のうどんを打って、ちくわやかまぼこで顔の形に仕立てたうどんを提供した。

動坂テラスから次の拠点へ向かうランナー。青天で気温も上がった

動坂テラスには生活クラブ生協まち文京千代田の「オレンジ色の」温州みかんジュースの提供もあり、キャラバンカーも出動して、「いま噂の」ケチャップなど、さまざまな食材を販売した。

ランナーのほか、施設利用者が短い区間を歩くという参加もあった。

東コースでは、認知症カフェが開かれた白山の「キッチン・ユタカ」から、「グッドライフケアホーム向丘」までや、千駄木の有料老人ホーム「ホスピタルメント文京グラン」から特別養護老人ホーム「千駄木の郷」まで、東大赤門から東大構内を横切って、小規模多機能型居宅介護施設「ユアハウス弥生」の利用者が車イスで参加した。

西コースでは、「杜の癒しハウス文京関口」から「リアン文京」まで、有料老人ホーム「グランヴィ小日向」と「優っくり村」から地域の居場所「こびなたぼっこ※」までも、車イスの高齢者らが歩いた。

コドモカフェオトナバーTUMMYからコミュニティカフェ「風のやすみば」までは、小さい子から高齢者まで30人以上がごちゃまぜで歩き、長い急坂の「宮坂」をオレンジ色で染めた。

ワークスペースさきちゃんちからエーザイまでは、昨年も参加した車イスの方がランナーらに支えられ、ゆっくりと吹上坂を上った。

ワークスペースさきちゃんちでは、明治安田の協力により、血管年齢や、野菜の摂取量が測れるベジチェックを受けられた。

エーザイではたくさんのイベントが開かれた。あたまを活性化するエクササイズや脳を活性化する「ブレパサイズ®」といった運動、脳トレゲーム「ブレインワークアウト」や脳の健康度チェック「のうKNOW®」といったエーザイのコンテンツのほか、リアン文京の協力のもと、NPO法人地縁の輪によるタッチケア「LUANA」も開催。

「オレ!」。開会式でも閉会式でも踊ったマツケンサンバ隊は、グランヴィ小日向やユアハウス弥生、エーザイでも踊り、計6回の踊りを披露した。

文京区内の介護職、医療職で結成されたグループで、研修などの活動をしているが、なぜか柱の一つにマツケンサンバがあがったという。

「お年寄りも子どもも誰もが楽しめるものということで始めた。今日はみなさん盛り上がってくださった」。スタッフの子どももいて「RUN伴のコンセプトのごちゃまぜは、こちらもまさに同じ」とのこと。みんなノリノリで、車いすでエーザイにゴールした方も、エーザイ内でサンバ隊の踊りを見ながらノリノリで手を動かし、黄金のバトン(?)を振っていた。

エーザイにはRUN伴文京区本部も置かれ、配信チームが最初から最後まで活躍。東西各コースの動画担当者から送られてくる映像を適宜スイッチしながら、YouTubeで生配信した。MCは今川智広さん。開会式と閉会式では司会進行を務めた。

約10キロの全周を走ったランナーの感想は「いろんな施設の方に出会えてよかった。高齢者とすれ違うことも多く、文京区ってそういうまちなのかなと、いろいろ考えさせられました」

「いい天気になって、いろんな活動を知ることができた。運動にもなったし、地域のことも知れたし、文京区の町並みが素敵でした」

「拠点で待っててくれる人がいて、幸せな気持ちになった」

「たくさんの笑顔とドラマがあって最高の一日でした」

完走した若年性認知症の男性は「いい風景が見られた。認知症になってもできる。まだ負けないよ、って気持ち」。

実行委員長の竹形誠司さんは「みなさん、楽しかったですかー?(参加者:はーい)。たぶん来年もやるので、どうやったらもっと楽しめるかを考えてください」とあいさつして終了した。

竹形さんは、「みんなが知り合って、顔見知りになれたならうれしい。また来年会いましょう」と話していた。(敬)


Copyrights © 2007-2015 JIBUN. All rights reserved.
error: 右クリックはできません。