【まち・ひと】子どもたちに豊かな経験を/住みびらきで開設、千駄木の「狸坂文福亭」稲葉洋子さん

 「さあ~クイズです。わたしはだれでしょう。1 しろとくろのもようだよ」。紙芝居の紙を抜きながら、街頭紙芝居師の三橋とらさんが子どもたちに尋ねる。「パンダ!」。子どもたちの答えは勢いがある。文京区千駄木の「狸坂文福亭(たぬきざかぶんぶくてい)」ではお話し会や紙芝居、ミニ音楽会など、子ども向けのイベントが開かれている。毎年芸工展にも参加しており、今年は三橋さんの紙芝居ライブや消しゴムはんこワークショップなどを開いた。
千駄木の狸坂近くにある「狸坂文福亭」
 「人が集まる場をつくりたかったのです」と、NPO法人「子ども劇場荒川・台東・文京」事務局の稲葉洋子さんは言う。狸坂文福亭は2008年に建てた自宅の1階だ。小さなスペースながら、照明もプロジェクターもあり、ミニ映画会やミニ演劇会も可能だ。
 稲葉さんは長年、親子向けに舞台芸術鑑賞の機会を設けている会員制の「子ども劇場」の活動を担ってきた。「子ども劇場」活動は、参加者自らが活動を作っていく場でもあり、歌舞伎や演劇、ミュージカルなどの舞台鑑賞だけでなく、芋掘りやバーベキューなどのサークル活動もある。稲葉さんは「事務局長になったのが45歳のときで、それから四半世紀近くやってしまった。7月に平理事になりました」と笑う。
 子ども劇場では、プロの舞台芸術を年5回、都内の劇場やホールで見られるが、稲葉さんは「そのほかに地域でも気軽に見られる場をつくりたかった」という。
文京プレーパークで紙芝居をする稲葉さん
 三橋とらさんの母親とは、子ども劇場の活動を通して地域でつながりがあったというご縁。稲葉さん自身も「素人仕事ですが」と謙遜しつつ、六義公園で定期的に開かれている文京プレーパークなどで、仲間と紙芝居をやっている。「子ども劇場の活動のほかに、文京区民としてささやかながら地域のためにがんばろうと思っています」と話している。