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【イベント報告】誰も教えてくれなかった!?子ども乗せ自転車の安全な乗り方教室、東京大で開催

 乳幼児がいる家庭には必需品ともいえる子ども乗せ自転車。でも、安全に乗るための知識を得る機会は意外に少ないものだ。12月4日、東京大学で、子ども乗せ自転車の安全教室と自転車試乗会が開かれ、約30組の親子が参加した。「ちゃんと教えてもらえる機会がなかったのでよかった」と参加者に好評だった。
 まずはWa-Life Labo(わらいふラボ)代表で自転車安全利用コンサルタントの北方真起さんが、経験やデータに基づき、子ども乗せ自転車の安全な乗り方について解説。保護者の11人に1人が事故を経験しており、事故の約7割が交差点で起きているという。子ども乗せ自転車は電動アシスト付きだとそれだけで重量が30キロ近くあり、子どもを2人乗せると、保護者も含めて全体では100キロを超え、スクーター級の重さになる。押し歩きをしていて自転車が一度傾くとそのまま転倒する場合もあるし、急な方向転換も危険だ。「子どもには必ずヘルメットをかぶせてください。乗せるときは抱っこして、自分でよじ登らせないように。自転車から離れるときは必ず子どもも降ろしてください。乗せる順番は、後ろの子どもが先で、前の子どもが後です。降ろすときは前の子どもが先で、後ろの子どもが後です」。
 北方さんは子育てに関するコミュニケーション講座の講師として活動してきたが、子どもが2歳のとき、子ども乗せ自転車で走っていて車とぶつかって転倒する事故に遭った。「子どもはしばらく夜泣きをして、自転車を怖がった。わが子は自分で守らなくてはいけないのに、自転車の安全に関して誰も教えてくれない。それなら自分がやろうと」。2013年から保護者のための自転車安全利用啓発活動を立ち上げた。自治体や企業向けにも講座を開いている。「自転車は便利でエコで心にも体にもやさしい楽しい乗り物。正しい知識を身に着けて安全に乗っていただければ」と話す。
 座学のあとは、用意されたヤマハやブリヂストンの電動アシスト付き子ども乗せ自転車4台の試乗会。電動アシスト付き子ども乗せ自転車は12万円前後する高価なものだが、自転車協会の安全基準に適合しているBAAマークのあるものは、安全、安心に設計されたものだという。「ハンドルロックや、乗せやすさ、安全面など、日本のメーカーは細かいところまで配慮している。BAAマークがついているものがおすすめです」とのことだ。
 参加者は2組に分かれて次々に試乗した。子どもの体重と同等の砂袋を乗せて走る経験もして、初めての人は「あーこわいな~」とつぶやいていた。子ども乗せ自転車を普段から使っている人は「子どもが急に後ろを振り返ってバランスを崩したことがあり、安全性は大事。後ろの席にフックをかけて荷物をぶら下げている人もいて、ああいうのも危ないと思う」と話す。安全教室全般については「自転車も車両であるとか、基本的なことがちゃんと学べてよかった」と話していた。
 この安全教室を企画したのは、宇都宮大学地域デザイン科学部教授の大森宣暁さん。参加者は安全教室を受ける前と、受けた後、「運転が大変だと思うか」「運転している人に配慮しているか」などを尋ねる「子ども乗せ自転車に関するアンケート調査」に答えた。安全教室受講の前後で、子ども乗せ自転車利用者と周囲の人々の意識の変化を測るねらいだ。大森さんは「初めて子ども乗せ自転車に乗る人が、慣れない乗り心地に驚いていて、試乗は大切だと思った。プロが教えてくれてよかった」と話していた。
 北方さんを講師に、2月27日10時半から、文京区小石川の「さきちゃんち(小石川3-36-14 2階)」でも子ども乗せ自転車安全教室を予定している。(敬)

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