「種子島の安納芋です。こちらはすぐ食べられます。冷めた方がねっとり甘いですよ」
「まあ、おいしい!」
小石川郵便局の前でこんな会話が。ゆうちょや保険の宣伝の幟の前に、野菜がずらり。なんだろう?と足を止める人に、仕掛け人の黒須設雄さんがすかさず話しかける。「採れたて野菜です。地方でがんばっている農家の品を置いています。ぜひ見ていってください」
毎月15日に開かれている「ポストマルシェ」。昨年5月から開かれている。黒須さんの実家は埼玉の農家で、野菜はまさに採れたて。地方の農家を支援したいと、全国約50軒とつながっており、天然黒糖やこだわりのはちみつなども販売している。熊本の農家とのつながりもあり、「熊本応援」も掲げる。
「近所の学校の生徒さんが、ブロッコリーが畑でどんな風になっているのかわからないというので、これ、持ってきました。生徒さんに見せたら驚いてましたよ」。黒須さんが手にするのは、ブロッコリーの株だ。
それにしてもなぜ郵便局の前?
「産直野菜を扱うふるさと小包がありますよね。ここで展示販売すれば相乗効果も期待できるかと」と黒須さん。また、地方農家は郵便局を利用している方が多く、「都内の郵便局で自分たちが作った野菜が販売されることで、地元の話題と生産者の活力につながれば」。郵便局側にも、地域密着の活動としてのマルシェ開催でお客さんへのサービスにつながるというメリットがある。そう考え、自ら郵便局にプレゼンしてマルシェが実現したのだという。
黒須さんは化粧品メーカーに20年勤めたあと、2014年に独立起業。本社や営業所は文京区内にある。キーワードは「健康」。新鮮野菜でみんなに健康になってほしい、と考えている。もう一つは、地方でがんばっている農家の支援。「どこで誰が食べているかがわかれば、やりがいになる。農家の期待も背負ってやっています」(敬)