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ゲームで研修、体験型学習、交流イベントも/文京区小石川の遭遇設計

「やること多すぎだけど分担できない」

「もやもやカード」をひくと、こんな文言が出てきた。さあ、あなたならどんなアドバイスをする?

東京大学医学部川上研究室と株式会社遭遇設計が作ったカードゲーム「カウンセリングの極意」。開発に携わった遭遇設計代表取締役の広瀬眞之介さんは「東大の先生がここにいるならこうアドバイスする、という内容がカードに閉じ込められている」と話す。

「もやもやカード」には悩み事が書かれ、「処方せんカード」には「頼ろう」「何とかなる」「自力でやる」「旅に出る」「叫ぶ」「任せよう」「ここは我慢」「行け行けどんどん」「瞑想する」「調べる」等々、行動や考え方のアドバイスがずらり並ぶ。クライアント役が引いたもやもやカードに対し、カウンセラー役のプレーヤーが処方せんカードで対処法を提案する。簡単に言えばそういう内容だ。ゲームにしたことで、「先生を毎回呼ばなくても、カウンセリング的コミュニケーションの実践練習ができる」。新米カウンセラーをはじめ、一般の人や企業研修で活用しているという。

「聞くだけでは単なる知識。体験しないと身につかない。体験をカードに閉じ込めたことで、いつでもどこでもクオリティの高いワークショップができるというわけです」と広瀬さん。

広瀬さんは文京区生まれの文京区育ち。ITベンチャーなどを経て2011年に株式会社小石川を創業、ネコがいる協働オフィス「ネコワーキング」事業の立ち上げや、新規事業のコンサルティング業などを手がけ、2017年に社名を遭遇設計に変更した。体験型研修や人材育成、ビジネスゲームの開発などが主な事業だ。「得意技はワークショップをアナログゲームに閉じ込めること」だという。もともとは地域活性化事業から始め、さまざまな事業に携わったが、「結局は組織の中の人間が変わらないと物事がうまく進まない。人材育成という課題にぶち当たる。そこで研修が必要だが、座学では机上の空論になりがち。現実に起こるさまざまな変数や制約をゲームに落とし込み、疑似体験できるようにした」

たとえば、飲食チェーン店の依頼で開発に参画した「店長ゲーム」は、店舗経営についてボードゲームで学べる。ゲームを通して店長としての心構えやコミュニケーション力が鍛えられるという。広瀬さんの自信作「ヒーローインタビュー」は、「複数人同時に取材インタビュー」をすることで、どのように人に話を聞くか、話を聞き出すかの実践的な練習ができる。「ビジネスゲームやゲーム研修という市場を開拓しています」

定期的に開催されている「お仕事ボードゲーム会」に参加してみた。文京区ボードゲーム地域交流会であり、親子で参加可能な会であり、ビジネススキルワークショップでもある。いろんな呼び方で参加者を集めているため、小さい子連れも高齢者も若者も、さまざまな層が集まり、ゲームに興じた。

最後にみんなで取り組んだのが、「地方想生」ゲーム。「古民家」「鐙坂」「和菓子屋」といった文京区の資源が写真と共にカードになっている。配られたカードの要素を全部使って、お題に沿った新商品や新サービスを生み出してタイトルをつけてプレゼンする、という内容。たとえば、お題が「売上」で、手札が「金魚店」「礫川公園の噴水」「東大の技術力」だったとしよう。広瀬さんなら、「街中に水路を巡らせて金魚を泳がす。金魚を見た人が金を払うというサービスをつくる」そうだ。「奇抜な組み合わせの方がおもしろいものができます」

このゲームで、テーマは「住みたい街ランキング」、手札は「掲示板」「花屋」「渡月橋」と出た。うんうんうなりながら、「石橋を飛んで渡れ」というサービスを考えてみた。内容は秘密。

さて、あなたならどんなタイトルのサービスを編み出す?(敬)


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