認知症の状態にある方々がレストランのホールスタッフを務める「注文をまちがえる料理店」が、世界アルツハイマーデーの9月21日に全国各地で開かれる。「まちがえちゃったけど、ま、いっか」を、「おいしくて楽しいから、ま、いっか」と笑い合って受け止められる寛容な社会をめざして活動している一般社団法人注文をまちがえる料理店が企画。文京区内でも、ケアギルドトーキョー(文京区弥生、過去記事参照)で「注文をまちがえるマルシェ」を開く予定だ。原宿のレストランでは9月20日、21日の2日間開く予定で、ドキュメンタリーも撮るといい、7月からクラウドファンディングも始まった。

注文をまちがえる料理店のイベントが初めて開かれたのは2017年。その5年前、当時テレビ局のディレクターだった小国士朗さんが取材していたグループホームで、認知症の方たちが作る料理をハンバーグと聞いていたのに、出てきたのが餃子、という出来事があった。ハンバーグが餃子になったって、おいしければいいんじゃないか。そこでひらめいたのが、注文をまちがえる料理店、だったという。

東京都内で認知症の状態にある方たちがホールスタッフを務めるレストラン型のイベントとして開かれ、報道を通じてコンセプトは世界中に広まり、評価された。有志による取り組みも広がり、これまでに19都道府県で25を超える団体が、「ま、いっか」の気持ちを広げる活動をしているという。小国さんは有志と法人を立ち上げ、「ま、いっか」精神の普及活動をしてきた。認知症の状態になっても社会に受け止める力があれば、暮らしやすくなるのではないか。イベントを通して認知症の状態にある人や参加者の交流が生まれ「まちがえちゃったけど、ま、いっか」と思える寛容さも生まれるのではないかと考えている。

いまや65歳以上の高齢者の約12%が認知症と診断され、軽度認知障害(MCI)を含めると3人に1人が認知機能に関する症状を持つと推計されるという。加えて2025年は約800万人のベビーブーム世代が75歳以上の後期高齢者になる。こうした中で、アルツハイマーデーの9月21日を「ま、いっか」の日とし、参加団体を公募。23団体が手を挙げ、各地でレストランやカフェ、マルシェといったイベントを開催する。小国さんは「自ら開催するのは8年ぶり。全国で開催し、映像にしっかり残すことで、ま、いっか精神をさらに広げたい」と話す。

北海道伊達市の「てへぺろDATE実行委員会」から福岡市の「注文をまちがえる『ばあちゃん喫茶』福岡市実行委員会」まで、9月21日に各地で様々なイベントが開催される。その一つ、文京区では「注文をまちがえるマルシェ」を予定しており、文京区の協賛も得て、シビックセンターが9月21日から30日まで、認知症啓発カラーでもあるオレンジ色にライトアップされるという。

原宿の「ハラカド」5階のレストラン「FAMiRES(ファミレス)」では9月20日と21日に、注文をまちがえる料理店が開かれる。「様々な文化発信の地で、日本や世界に向けて、ま、いっか精神を発信する」と意気込む。全国の団体含め有志による手弁当の取り組みのため、クラウドファンディングを実施中だ。ドキュメンタリーの制作費のほか、当日の会場費や人件費に充てるという。詳細はクラウドファンディングのサイトで。(敬)

