2025年の夏は、べらぼうに暑い。江戸の夏もとても暑かったそうだ。「ひゃっこい、ひゃっこい」という掛け声とともに、冷や水売りが江戸市中に涼を届けていたそうな。

8月2日、3日、台東区の谷中銀座商店街の「谷中ひゃっこい祭り」へ。

谷中銀座の通りに、氷柱が並ぶ。1本の氷柱は氷15貫ほどあるだろうか。毎年寄附を募って氷を買うそうだが、今年はよみせ通り側の入口から、夕やけだんだんの下まで氷柱が20本近く並んだ。毎日外を歩くのは命がけな猛暑、歩きながら氷に触ると生き返る。

「おもちゃ氷」は、大きな氷の塊の中におもちゃがたくさん埋まっていて、溶かして取り出したらそのおもちゃがもらえるというもの。

どじょうのつかみどりやゲーム大会、子どもびっくり市などもあった。

2日夜は、6年ぶりの盆踊りがあった。

流れていた曲に聴き覚えが。「谷中音頭で、谷中音頭で、踊ろじゃないか~♪♪」過去に取材した、いずみたく作曲の「ふるさと谷中音頭」(過去記事参照)。老舗の飴屋さんで確認すると、「そうそう。うちのおやじが作詞して、いずみたくが作曲したの」とのこと。

ちょうど朝ドラ「あんぱん」に、「いせたくや」の名前で「いずみたく」をモデルにした人物が出てくる。大河ドラマ「べらぼう」も吉原だから、旗が出ていて、台東区、ドラマ方面で話題沸騰。

納涼の祭りは、名を変えながらずっと谷中で続けられてきた。「谷中ひゃっこい祭り」となったのは今から10年前、商店街の若者が、江戸の頃の呼び名の中から「ひゃっこい」を見つけて、今の「谷中ひゃっこい祭り」はスタートしたという。

ひゃっこい、ひゃっこい。しばしの涼を堪能した。(稲葉洋子)

