小石川七福神、20年で観光コースに/「100年、200年続くと確信」発起人の高松さん

福禄寿
東京ドームのそばに、マンションの谷間に。都心文京区ならではの意外な場所に、小石川七福神はある。都内には30以上もの七福神めぐりがあり、通常は恵比寿、弁財天、大黒天、布袋尊、毘沙門天、寿老人、福禄寿の7カ所をめぐるが、小石川の場合は弁財天が2カ所あるので計8カ所だ。茗荷谷町会長や地元の旧家が発起人となってつくられてから今年でちょうど20年。平成生まれの七福神は、今ではすっかり定着し、たくさんの人が訪れる観光コースになっている。

弁財天(マンションの公開緑地内にある弁財天)

 

茗荷谷駅を起点にすれば、恵比寿(深光寺)、男弁財天(徳雲寺)、弁財天(極楽水)、寿老人(宗慶寺)、布袋尊(真珠院)、大黒天(福聚院)、毘沙門天(源覚寺)、そして福禄寿(東京ドーム・後楽園)。逆でもよく、ただ回るだけなら1時間半ぐらいでめぐることができる。このうち、白蛇をご真体とする弁財天、極楽水は、播磨坂沿いのマンション小石川パークタワーの公開緑地内にある。また、福禄寿は小石川後楽園に祀られていたとされ、もともとは同じ敷地内である東京ドームシティ2階の人工庭園に再祀されている。

七福神めぐりは中世から始まったともいわれるが起源は定かでなく、江戸時代に盛んになったようだ。隅田川七福神は、江戸時代の文人、大田南畝、谷文晃、酒井抱一らが創設したものだという。そんな話や、「文京区は名所旧跡や神社仏閣が多いのに七福神はないのか」という声を耳にした茗荷谷町会長の高松秀幸さん(84)、西沢弘さん(故人)ら有志が、20年以上前に七福神コース創設に向けて調査を始めた。

(発起人の高松秀幸さん)

  伝通院近くの福聚院にはもともと、江戸七福神の一つといわれる大黒天があり、播磨坂の極楽水の弁財天も古くから知られていた。「半日ぐらいで回れて、交通の便がよく、付近に見学できるものがあるといい」。そう考え、小石川地区内に絞り込み、周辺の寺院を訪ね、国会図書館などで文献を当たった。すると、真珠院には布袋尊が祀られていることがわかり、文部省の資料に小石川後楽園に福禄寿が祀られていたという記述を発見。恵比寿や毘沙門天は、像はなくても絵図を持つ寺があることなどが次々に判明した。

2年がかりで七福神がそろったところで、小日向4丁目の徳雲寺から「うちには体がヘビで頭が男の弁財天がある」と連絡を受けた。調べてみると、鎌倉・円覚寺の弁財天も同様の姿だといい、江の島の洞窟にも同じ弁財天があることを実際に行って確かめた。琵琶を弾く女神が多い弁財天だが、男の弁財天も加えようということになり、めぐる場所は8カ所に。

寺の人と共に各地の七福神の視察もした。当時の東京ドームシティの社長や寺院の協力で像やお堂がつくられた。結局準備に3年余かかり、1995年元旦、小石川七福神の開始にこぎつけた。「今も使われている朱印(スタンプ)は私が各寺に寄贈したもの。もう20年になりますか」と高松さんは感慨深げ。今では秋に下見にくるグループもあるほどで、今年は鉄道会社の冊子に紹介されたらしく、例年より人数が多いという。「始めれば100年、200年は続くという確信があった。深光寺には滝沢馬琴の墓があるし、真珠院は松本藩、沼津藩主の水野家の菩提寺。福聚院には唐辛子地蔵があるなど、各寺の見どころや伝通院など周辺の名所も楽しんで」と話している。(敬)