春の野山は花盛り。ハナニラの白い花、黄色いタンポポ、青紫のオオイヌノフグリが地を覆い、目をあげればツバキもきれいだけど、なんといっても桜の花。大人は花見だ、花見だ、とウキウキする季節だが、子どもたちの関心は地面に引き寄せられる。

「これなにかなぁ。カマキリの卵かなぁ」。黄土色の塊を虫眼鏡で見たり、手に取ってむいてみたり。

バショウの花を覆う苞(ほう)を拾った子は、草の葉やツバキの花びら、桜の花びらを集めて入れて「スープをつくるの」。

溝にたまった水のそばにしゃがみ込み、棒をたらして「釣り」も始まった。「あ、釣れた!」と枯れ葉が棒に刺さると喜ぶ。落ちていた長いツルは電車ごっこのツールに。

「お薬を作るんだ」と男の子が草の葉を手でもみ始める。最初は薬と言っていたのに、途中から「これウーロン茶だよ」と変わっていく。

他の子もマネして手で葉っぱをコネコネ。「わー、手が緑になっちゃったー」。

大きな切り株はキッチン台に。「お寿司屋さんだよー」「注文は何にしますか?」「いくついりますか?」
「2個お願いします」というと、「100以上でないとだめでーす」。

「お米を持ってきてくださーい」「はーい」。何人かが駆け出し、メタセコイヤの花が運ばれてくる。

独自路線でわが道をいく子は、ツバキの花の花弁を指さして「ほら、これクラゲみたい」とうれしそうに見せてくれる。

「あ、これ玉ねぎみたい」。地面に落ちていた球根のようなものを、1人がむき始めると、他の子もまねしてむき始めた。そして、お寿司屋さんがいつの間にか、和菓子屋さんになったようだ。「あんころもちをつくりまーす」。白くむかれた球根をたたいてつぶし、「お米」をふりかけ、「はい、あんころもちでーす」。

桜のきれいな場所に行ってお花見をしたい、という大人の思いなど気にもかけず、落葉針葉樹の林の中ではお寿司屋、和菓子屋が繁盛していた。そのうち、「すべり台!」と草をすべり始める子もいる。ひとしきり遊んで、林の隅の陽だまりでお昼ごはん。日差しが暑いぐらいで、そよ風が心地よい。

ようやく大人の意向も気にかけてくれて花見をしようと動き出すが、水たまりがあればバチャバチャ。泥だらけになってもへっちゃらだ。階段脇にある溝は格好のすべり台に。しかし前日の雨の水がたまっていて、靴も靴下もズボンもパンツも濡れてしまう子もいた。「着替えたいよー」「じゃあ上着で隠すからね」。子どもたちは協力しあって目隠しをするので、着替えもスムーズ。

桜の広場に着いたのは、13時過ぎ。小さい子はちょっと疲れてふらふらしていたが、敷物を広げてお絵かきが始まるとたちまち元気に。ツバキの花にタンポポや桜の花びらを加えて「王子の冠」を作った子は、その絵を描いていた。

2歳から5歳までの異年齢混合の集団だったが、全体としてのまとまりがあり、助け合いもあった。遊び込むことで想像力や創造力が広がるだけでなく、社会性や協調性も養われることが実感できた。森のようちえんNEKKOは随時開催している。詳細はサイトから。(敬)

