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富山型「まぜこぜ」の居場所をめざす/コドモカフェ オトナバーTummy(タミー)オープン

子どもも、障害者も、高齢者も。区別も敷居もなく、みんなが一緒に過ごせる場をめざして、「コドモカフェ オトナバーTummy(タミー)」が2022年12月、文京区千石3丁目にオープンした。駄菓子があり、障害者施設で作られるお弁当や惣菜、物品販売があり、クラフトビールなどアルコール飲料もある。「子どもからお年寄りまで、障害があってもなくても利用できる。富山型のまぜこぜスタイルをめざしたい」と、運営する橋本菜生美さんは話す。

橋本さんは富山県出身。文京区白山の東京富山会館内にある東京富山県人会連合会にもかかわっている。柔道や水泳に打ち込みたいという子どもたちのために、かつて区内に住んでいたことがあるので土地勘はある。大の銭湯好きなので、「番台」を置いた。壁には友人の画家・イラストレーター井上ヤスミチさんが左側に銭湯のペンキ絵風の富士山と湯舟に浸かる人たち、右側に湯けむりあがる露天風呂に入る人たちを描いた。入り口が2つあるので、子どもが遊べる場所と、カフェバーの場所がなんとなく分かれている。

橋本さんは精神疾患のある叔母と父の介護や看護をし、末期がんになった2人を在宅で看取った。子どもたちも成人し、改めて障害や介護、保育に目が向き、富山型デイサービスに興味がわいたという。富山型デイとは、看護師の惣万佳代子さんらが1993年に先駆的に始めた「このゆびとーまれ」が有名だが、高齢者は介護施設、障害者は障害者施設、子どもは保育施設といった垣根を取り払い、民家のような場所でみんなが一緒に過ごせる福祉サービスだ。小規模多機能で地域密着という特徴がある。そんな場をゆかりのある文京区でできないか。そう考えて場所を探していたところ、縁あって今の場所を借りることになった。

富山に暮らしていたころ、長距離トラックの運転手をしていて全国の酒蔵を回り、ビール醸造所も120カ所以上回った。そんなことから、一時期富山市内で「女性が1人でも入れる」ビアバーを経営していた。「クラフトビールが地ビールと言われた時代、クラフトビールのビアバーは全国で3番目だった」と橋本さん。「タナバタビアフェスタ」というイベントの仕掛け人でもあった。バーには人が集まり、輪が広がり、「居場所」づくりのノウハウはそのときに学んだ。

Tummyでは子どもが1人でも来やすいように駄菓子を、大人が本音を語り合えるようにお酒を置く。子連れで飲みに来たっていいと思う。障害者が作った木のおもちゃや織物も展示販売。総菜や弁当も、近隣や障害者施設で作られたものを置いている。

17時以降のオトナバー利用者にはチャージ料500円がかかる。「これは誰かの食事代にします」と橋本さんは言う。「恩送りできればと思って」。子どもでも大人でも、見知らぬ誰かの食事代に充てる。どの年代の人に食べてもらいたいかは付箋に書いてホワイトボードにペタリ。

飲食店としての立地は悪く、いかに場所を知ってもらい、人に来てもらうか。娘やその友達の力も借りてSNS発信に力を入れ、駄菓子屋の幟も作って外に出している。毎週火曜日は子育てサロンも始めた。「まぜこぜ」に向けての奮闘は始まったばかりだ。(敬)

千石3-5-15 1階

時間:11時~23時 月曜定休、その他不定休あり。親子での利用は1人200円(ドリンクを頼めば無料)、8歳以上の子どもは300円(詳細は問い合わせ)。

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