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民謡もポップスも「糸」の音で楽しんで/富山発、三味線と胡弓のユニット「糸音」のライブ

富山から世界へと発信を続ける三味線と胡弓の2人組ユニット「糸音-itone-」のコンサートが7月16日、千石3丁目のコドモカフェ・オトナバーTummy(タミー)で開かれた。親しみ深い楽曲演奏のほか、歌あり、聴衆参加の踊りありで、来場者は飲み物を片手に楽しんだ。

糸音(いとね)は、富山市で「しゃみせん楽家(らくや)」を主宰する濱谷拓也さんと、「おわら風の盆」で知られる富山市八尾町出身のおわら胡弓奏者・舘谷美里さんのユニット。和楽器は「弦」と言わず「糸」と言うことから、糸の音、和楽器の音楽を広げたいという願いが命名に込められている。濱谷さんとは、JIBUNの稲葉洋子ライターと不思議なご縁でつながっており(過去記事参照)、Tummyの店主が富山出身であるご縁もあっての開催となった。

まずは「前座」と称して濱谷さんがダンボール三味線を披露。濱谷さんが三味線に親しみやすくしたいと考案した楽器で、各地でワークショップも開かれている。

「さあ、では、日本のビートに乗せて、秋田の民謡を演奏します」。濱谷さんの求めに応じて聴衆は「ちゃちゃんのちゃん」と手拍子を打ち、その「日本のビート」に乗せて糸音の2人は秋田の花笠音頭を演奏。次に披露した富山の有名な民謡こきりこ節でも聴衆は自然に手拍子を打った。

胡弓というと、中国の二胡と勘違いされがちだ。舘谷さんによれば、二胡が日本に入ったときに胡弓と呼ばれて定着したからだという。和胡弓はいまや弾く人が少なく、おわら風の盆がある富山で弾かれているぐらいだそうだ。三味線と同じような形をしているが、縦に持ち、馬の毛を張った弓で弾く。ジブリの映画の曲が披露されたあと、立奏でおわら風の盆の曲も演奏された。

さらに、プチ踊り方教室も。一番簡単だというおわらの踊りの手の動きを、舘谷さんの手引きで聴衆も実践。所作の一つひとつに種まき、終わり、などの意味があるという。濱谷さんのテンポを落とした三味線と伴に、手だけでみんなで踊った。おわら風の盆は2023年は9月1日~3日に開かれるそうだ。

JIBUNの取材がきっかけで、2022年秋には藍染おわらが開かれ、舘谷さんによる和胡弓教室も千駄木の「狸坂文福亭」で開かれている(過去記事参照)。8月20日には今回の演奏会場となったTummyで、ダンボール三味線のワークショップも開かれるという。(敬)


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