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全員が主催者。地域デビューの一歩に。「思い出横丁in傳通院」大盛況

伝通院の境内が人、人、人。。。焼きそばやかき氷販売あり、メダカすくいあり、本堂前の石畳は「ステージ」となり、ダンスあり、音楽あり。「お祭りづくり」を地域のみんなで楽しもうという「文京思い出横丁in傳通院」は大盛況だった。「全員が主催者。ないものは自分で手配する。祭りをつくった、という感覚が大事」と、実行委員長の北永久さんは言う。

全員が主催者とは?――「自分たちでやりたいことをやってください、ということ。何を用意してもらえますか?と尋ねるようではダメ。客扱いはしません」。一部を除き、売り上げのいくらかを本部に、ということもナシ。「だって全員が主催者だから、それぞれの売り上げが本部の売り上げなんで」

レモネードを出したい、と近所の高校生が集まって出展。学童保育のイベントに長年かかわってきた人は、射的をやりたい、と出展。森鴎外が結ぶ縁で文京区と協定を結んでいる島根県津和野町は抽選会や物産販売を。文京区立第八中学校のダンス部は「ステージ」でダンスを披露。。。

「文京まちたいわ」も境内にある繊月会館の中で出展。文京まちたいわは、文京区を拠点に活動する人たちがやりたいことや困りごとを共有し、知恵を出し合い、活動を広げるためのつながりの場で、年に2回フェスを開いているが、今回は思い出横丁に合流。防災をキーワードに地域活動をしている「ご近所 de BOSAI」などの団体が出展していた。

北さんは弁護士で、東京青年会議所(JC)の理事も務める。昨年初めて開いた文京思い出横丁は、JCのメンバーが発起人となり、実行委員会をつくった。前回はかかわる人が100人にも及び、今回は150人にも及ぶ。「ここで楽しい、と思った人のうちの何人かでもいい。地域で活動する人になってほしい」。それが本当の願いだ。

北さんの文京区在住歴は十数年。地域の祭りや活動になかなか一歩を踏み出せないでいた。何か社会貢献ができないだろうか――コロナ禍で考えていたとき、フードパントリーをやろうと思い立った。ところが、場所は?資金は?どうやって配る?と悩み、1年半始められないでいた。「失敗してもいい。修正しながらやればいい」と、腹をくくって、2年前に初めて開催したら、友人知人が20~30人手伝いに来てくれた。「自分からやりたい、と来る人は、その人が中心になれる場を作れば、自分で動き始める」ということがわかった。利用者として食品を取りに来た大学生は、2週間後には運営側として手伝うようになった。この活動をもとに、北さんはNPO法人文京BASEを立ち上げた。

昨年初めて「思い出横丁」を開催したのも、誰でも参加できる、自分で作り上げることができる、楽しいイベントをやりたい、と思ったからだ。この指とまれ、で友人知人、そのまた友人知人が集まってきて、名前もチーム内の投票で決めた。「コロナ禍で3年間、思い出のない子どもたちがいる。その子たちに思い出を作ろう」というのが出発点だ。伝通院とも知人の紹介でつながり、実績はゼロ、内容も決めていない、日程だけ決めたところからスタートしたという。

主催は文京BASE、伝通院との共催だ。もちろん、自分が動いてやり遂げることは大事。去年、仲間たちはその姿を見ているので、今年はそれぞれが自主的に動くようになった。「現場力がすごい。団結力も強くなる。とにかく自分で一歩、踏み出せばいい」と北さん。「何かをやろうと思ったとき、1人でゼロからやるのは大変。でもここのメンバーに投げかけたらできる、というような場になれば」と話していた。(敬)


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