犬、猫、鳥、ウサギ・・・大切な家族の一員であるペットは、災害が起きたらどうなるのか。一緒に避難すればいいんじゃない? と思いきや、避難所でペットを断られるケースが相次いでいるという。そこで、文京区内の有志が「ペット防災マイスター」というグループを結成し、ペット避難所の確保や、避難訓練など、ペットを守るために災害に備えて準備する活動を始めた。17日(月)には「わんちゃん・ねこちゃん同行避難訓練」を区内で実施する。
ペット防災マイスター発起人で顧問の佐々木潤子さんは「環境省は同行避難を推奨しているのに、実際は断られ、能登半島地震ではやむなくペットと自宅にとどまった高齢者が亡くなったケースもあった」と言う。2024年6月に発足した会はすでに約30人の会員がおり、避難所運営側の理解を求め、受け入れ態勢を整える準備をすると共に、飼い主に向けてクレート(箱型のハウス)の準備や、むだに吠えないようにする訓練など、啓発活動をしている。
1月下旬には、ペット防災セミナーを実施し、約80人が集まった。一般社団法人全日本動物専門教育協会の鈴木清隆さんを講師に、いまや全国で5軒に1軒が犬猫を飼育しており、犬猫の頭数は子どもの数を上回っていることや、環境省が定めた「人とペットの災害対策ガイドライン」をもとに、災害時は飼い主による「自助」が基本であり、自治体が行うペット対策は「支援」だということを解説した。
会場では防災グッズやクレート、ペット用の名札なども展示された。
佐々木さんは、米国在住経験をいかして絵画教室を開いてきたが、もともと大の動物好きで、ドッグトレーナーやペット災害危機管理士の資格も持つ。まずは防災の基本を学び、そのうえで、動物嫌いの人も、アレルギーの人もいるなかで、避難所の動線などを含め、いかに迷惑をかけずペットの避難場所を確保するかについて学んだ。「とにかく、避難所に一部屋だけでもペットのスペースを確保してもらえたら」という。散歩などに連れ出すのは飼い主の役目だが、夜間などのケアはボランティアがする体制をつくる。「ペットを飼う人が増えたとはいえ、日本はペットには厳しい社会。入念な準備をしておかなければ、避難所でのペット受け入れは難しい」
同時に、海外と比べて遅れているのが、ペットの訓練。「何歳になっても、むだ吠えしないように、クレートに落ち着いていられるようにする訓練は可能です。猫だってできます」と佐々木さん。
また、会では独り暮らしの飼い主の安保確認もしている。孤独死した高齢者の家で、ペットが死んでいたり、ペットだけ生き残っていたりするケースがあるという。

佐々木さんは「ペットを守ることは、飼い主を守ること。自分事として考えてほしい」と話している。
17日の同行避難訓練は、千駄木の養源寺に13時~15時にペットと共に、災害時を想定して「避難」する。問い合わせはメール(petbousaimeister@gmail.com)で。
災害時に役立つトレーニングも定期的に開催している。サイトでも情報発信中。(敬)