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高齢者施設の利用者が「画箔」?!ミラクル起こる参加型アート展「ART SO VIVA」文京区弥生で

桜色、黄色、水色・・・会場はとりどりの春の色が満開。丸や角の小ぶりなキャンバスに描かれたアートに目を奪われる。高齢者施設の利用者さんが描いた作品群だ。ケアワーク弥生(文京区弥生2-15-13)2階では13日まで、参加型のアート展「ART SO VIVA」が開かれている。1階のケアギルドトーキョー過去記事参照)で「花見で一杯」やってから2階へ。ふらりと行って楽しめそうだ。

青い花のような、花火のような絵は、洗濯ばさみに絵具をつけて描いたという。近所の小規模多機能の介護施設「ユアハウス弥生」の利用者さんだ。「絶対やらない」と言っていたが、やり始めたら乗ってきて、最後は満面の笑顔だったという。

「できない」「描けない」と言っていた人も、スタッフの誘いで手のひらに絵具をつけてペタっと押し、コルクに絵具をつけてスタンプしたら、「できる」ことがわかったのか、立派なアート作品を仕上げた。

「スポンジやコルクでスタンプしたり、歯ブラシでしぶきを飛ばしたり。参加しやすいしかけがあります」と、企画者の安原実沙紀さんは言う。「利用者さんたちのアートは斬新で、想定の枠を超える。みなさん、ミラクル。傑作に仕上がる」。ユアハウスの利用者は、絵に箔をつける「画箔」なのだという。

ART SO VIVAが始まったきっかけは、2022年、ユアハウス弥生の改修工事の際に描いた「壁画」。施設の壁紙をすべて張り替えることになり、「どうせはがすのだから、落書きしちゃえ」と、スタッフや利用者、訪問者らで壁に絵を描いた。「子どものころ落書きをしたことを思い出し、大人も童心に返ったら何か起きるかなとドキドキしまして」。最初は「できない」「怒られちゃう」と言って尻込みしていた利用者も、大丈夫、ちょっとだけやってみよう、と筆を持ってもらうと描き始めた。

腰が痛いと座ってばかりいた人が立ち上がって上の方を描く。少しのきっかけで、気持ちが乗ってくれば、できそう、もっとやれそう、と欲が出てくる。気持ちが体を動かすミラクルを目の当たりにした。ベトナム在住でたまたま訪れてきた家族がベトナム国旗を描き、ミャンマーの留学生がキリンを描いた。

昨年は、画材店が寄付してくれた縦2メートル、幅3メートル30センチの布を屋上に置き、利用者をはじめ50人もの人が訪れて、春夏秋冬をイメージした下絵に少しずつ筆を加えていったら、やはり巨大で素敵なアートができあがった。そのまま保管できないので、小さく切って額に入れて、寄付者や協力者にプレゼントした。

「来た人でつくる、参加する、ということで特別な絵になる。それがいいなと思った」という安原さんは今回、ART SO VIVAの会場の一角に参加型アートコーナーをつくった。コルクや絵具が置かれ、下絵の木にスタンプや筆で絵が描ける。「絵具をたっぷりつけると立体的になる。人によって絵具の使い方が違うので色味や奥行きも違う。ハートを描く人もいて。参加することが大切」と安原さん。

すでにおもしろくなってきているが、期間がまだまだある。「これからどんな風に変化して仕上がっていくのか、楽しみ。ぜひいらして参加してください」

1階のケアギルドトーキョーで500円で「花見に一杯」。ワインを頼んだら、薄桃色でいい香りがする。ピーチゼリーと桜の花びらが入っていた。そして2階に上がって、桜の花びらみたいにカットされたコルクにピンク色の絵具を塗り、ポンポンと木に花を咲かせてみた。絵筆を持つのはハードルが高いが、これなら気軽に参加できる。なるほど。ほろ酔いとアートは最高。

ケアギルドトーキョー(弥生2-15-13 1階)
ケアワーク弥生(〃2階)
13(日)まで、13時~18時、6(日)、7(月)、10(木)定休

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