「乾物って水で戻すと思っていませんか? でも実は水分で戻せばいいので、ヨーグルトやトマトジュースなんかで戻してもいいんですよ」
「へえ~」。どよめきが起こる。

乾物の活用法について学ぶ「乾物料理の会」が、文京区白山のシェアスペース「播磨坂さくラボ」で1月23日に開かれた。講師は、産前産後の家庭をサポートするドゥーラ、保健師、ライターの肩書を持つ区民の水野佳さん。読売新聞が開設しているメディア「防災ニッポン」にも記事を書いている。

「こちらはヨーグルトで戻したクスクスです」。クスクスはアフリカ発祥で、小麦から作る粒状のパスタ。世界最小のパスタとも言われるそうだ。お湯で戻すのが一般的だが、クスクスの倍の分量のヨーグルトに一晩つけておき、角切りにしたキュウリ、ミニトマト、パプリカや、塩味として生ハムを加え、フレンチドレッシングをかけるとカラフルなサラダに。ヨーグルトで戻したクスクスはチーズのような風味で、ワインに合いそうだ。クスクスをトマトジュースで戻してグリルした鶏肉に添えてもおいしいそうだ。

乾物の代表選手、切り干し大根は和風の煮物しか思い浮かばないが、「和風だけではなく、洋風やエスニック料理にも活用できます」と水野さん。トマトジュースで戻してツナ缶とあえてサラダにもできるし、鷹の爪と一緒にオリーブオイルで炒めればアラビアータに。「へえ~」。また参加者がどよめく。

「乾物は最強の防災食でもあります。断水することもあるから、トマトジュースやオレンジジュースを備えておいて、ジュースで乾物を戻せば変化ある一品になり、飽きがこない」。災害時にも、食べ慣れた食事をとれることは、心を落ち着かせ、健康維持に役立つ。乾物は、日常と非日常を繋げる食材だという。「時短で調理できるから『いつも』のメニューにできるし、災害時など『もしも』のときにも使える優れもの」

この日のメニューは、切り干し大根の梅あえ、オムレツ、みそ汁。参加者で分担して切り干し大根を水で戻し、ニンジンを千切りし、シメジをほぐし、卵を割り、と作業した。梅あえは、戻した切り干し大根と、さっとゆでた千切りニンジン、千切りにしたシソの葉、青ネギを合わせ、刻んでたたいた梅干しとしょうゆ、砂糖、ごま油少々であえるだけ。さっぱりして梅シソの香り高い一品だ。

みそ汁には切り干し大根とニンジン、シメジのほか、薄切り高野豆腐を入れた。「薄切り高野豆腐はそのまま汁に入れられて便利。この辺だと播磨坂の上のスーパーで買えます」とのこと。

オムレツには、オイスターソースで炒めた切り干し大根、千切りニンジン、シメジ、ベーコンが入っていて、こくがある。一口サイズに切れば子どもでも食べやすい。3品に加え、水野さんが持参したクスクスのヨーグルト戻しサラダと、デザートは乾パンスコップティラミス。乾パンをヨーグルトで戻し、生クリーム、ココアをかけてあり、ほどよい甘さ。とても乾パンを使っているとは思えない。

乾物は台所のアイドル。切り干し大根はその「センター」的存在だという。「乾物パーティーなんかやったらどうかしら」「常備しておくといいね」「今度は野菜の干し方を教わりたい」。参加者のおしゃべりに花が咲いた。防災ニッポンにも水野さんの記事が掲載されている。

「播磨坂さくラボ(白山3-1-3)」は、一般社団法人まちのLDKが借りたスペースで、播磨坂下のスーパー2階にあり、桜の名所播磨坂が見渡せる。日当たりがよく、約60平方メートルの広さがある。

3面鏡張りの「奥の部屋」(約30平方メートル)もある。なぜ鏡が張られたのか、どのような用途に使われたのか不明だが、驚くほど静かな空間。ヨガなど呼吸を整え瞑想する場としてよさそう。

9月にオープンハウスをしたところ、延べ約50名が訪れ、来場者から活用策アイデアを募り、提案があった中から「播磨坂さくラボ」と命名された。一箱本棚オーナー制度「みんなの図書館」など、シェアスペースとして活用していく予定だ。活用案や使いたい人を募っている。問い合わせはメール(machi.no.ldk@gmail.com)で。

