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行きたいところに自分の足で行ける身体を食からサポート!朝ごはんも提供、白山のキッチンユタカ

管理栄養士とトレーナーが営む定食と弁当と総菜のお店が文京区白山にある。玄米か白米か選べて、みそ汁、主菜と、野菜のおかずが2~3品。これぞ一汁三菜。店主の亰須薫さんは「女性が1人でふらっと入れて、ご飯少な目とかいう注文にも融通がきいて、家庭的で。あったらいいなと自分が思っていた店をつくりたかった」と言う。パーソナルトレーナーの次男卓雅さんと一緒に2023年5月1日にオープンした「キッチンユタカ」は、5席しかないけれど、まちの小さなキッチンだ。

亰須さんは管理栄養士として長年栄養相談にのる仕事をしてきた。健診結果を一緒に確認しながら「この数値を改善しないと」といった話を相談者にするのだが、実践するのは相談者、サポートするのはその人の家族などであって、亰須さんではない。「無限の可能性も、限界もあって」。相談業務は楽しかった。調理が好きなわけではない。でも、五感に訴えられるものをやりたいと思った。「目と口と耳で味わってもらえるものを提供したいなと」。そこで6年前、当時住んでいた八王子市内でテイクアウト専門のお店を開いて1人で運営してきた。

生まれ育った文京区白山に戻ることになり、八王子の店は閉じたが、物件の縁があり、イートインもできて気軽に寄れる場所をつくろうと思った。折しも卓雅さんも勤めを辞めて独立しようと思っていたタイミングだったので、「トレーニングに関する情報発信基地にしたら」と誘い、一緒にやることに。「飲食は甘くないですが、なんとかなるかなと」。食べるだけでなく、ちょっと体を動かせばもっと元気になれる人が多い、という思いもあった。

掲げているのは、「いつまでも行きたいところに自分の足で行けるよろこびをサポート」。平日は朝7時から営業しているので、ご飯とみそ汁、納豆、卵、副菜に漬物もつく朝定食が食べられる。10時ごろから14時までが昼の定食。スイーツもある。「調理が得意なわけでもないので、ごく普通の家庭料理ですよ」

定食の一例(インスタより)

みそ汁はちゃんと出汁を取って作るからか人気で、みそ汁だけテイクアウトする人もいるという。毎回栄養計算はしていない。「ヘルシーだとおいしくないと思い込んでいる人もいるし、細かいことを言って敬遠されるより、まず食べて元気になってもらいたい」。ただ、コツがあるといい、「油をしっかり使うのは1品だけ。みそ汁には野菜や海藻、キノコを入れ、総菜は煮物、焼き物、塩こうじあえといった調味の工夫もする」。多くなりがちな油と塩、砂糖をメリハリをつけて使い、多様な食材を使う。また、出汁をとったあとのかつお節をふりかけにする、大根の皮をきんぴらにするなど、食材を無駄にしない。「昔の家庭では普通に食材を余らせない知恵があった。今だから受け入れられるみたい。昔食べてたよね、と懐かしさもあるのでしょうか」

8年ぐらい前から、登山を始めた。店が休みの週末に各地に出かける。店内にさりげなく飾ってある地図や写真や、インスタを見た客から、「山に登るんですか」と問われて話が弾むことも。「自分の足で好きなところに行ける身体、というコンセプトも、自分で実感しています」。旅先でみそや食材を購入して「今週は〇〇のみそです」と提供することもある。山好きの人と、春に丹沢に行こうという話も出てきて、食べるものの提供だけでなく、外に出るきっかけづくりもできればと考えている。

卓雅さんは「だし巻き卵と切り干し大根の煮物は作れる」そうで、調理も手伝うが、15時以降はスタジオに出向いてのレッスンやパーソナルトレーニングを手がける。客からトレーニングの相談を受けることもあり、ストレッチなどちょっとしたイベントもやりたいという話も出ている。「広いところを借りてエクササイズするとか、ランニングイベントとか、いろんな流れができるといいなと」。登山先では野生動物の食害をみかけるため「将来的には鹿肉のナントカとか、ジビエも取り入れてみたい」。夢は大きくひろがっていく。(敬)

キッチンユタカ(文京区白山1-14-10)
火〜金: 7:00~14:00 土: 8:00~14:00 月・日定休
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