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ようこそ!絵本の世界へ!ワクワクと出会いがある「劇場のような空間」神保町の絵本専門店&カフェ「ブックハウスカフェ」

壁一面の本棚に1万冊を超える絵本がずらり。高い天井にはおつきさまとおひさまの絵が。神保町のカフェ併設の絵本専門店「ブックハウスカフェ」は、一歩入ると明るく開放的で、たちまち絵本の世界へといざなわれる。「絵本は色とりどりだから明るいのだと思います」と、代表の今本義子さんは言う。

真ん中のカフェスペースのソファ席の上には、おすすめの新刊が各ページ見開きで飾られている。この日は「ふじさんになにのせる?」(作:苅田 澄子、絵:きたがわ めぐみ、 鈴木出版)という絵本。コラボメニューもあって、「ふじさんにカレーのせちゃおうセット(ふじさん型のアイシングクッキー付き)」「ふじさんの爽やかな空気と晴れた空をイメージしたさっぱりドリンク(ブルー色のクリームソーダ)」が頼める。ほかにも、「パンケーキ100まいたべたいの」(作・絵:石川えりこ、ポプラ社)のコラボメニューで「パンケーキ3/100まいたべたいのセット」というパンケーキ3枚とドリンクのセットも。

入り口脇のディスプレイウィンドウでは常に絵本の原画展をやっており、絵本も山積みされている。カフェカウンター脇にはマーケットギャラリー(作品販売コーナー)があり、絵本作家が自身の作品を展示販売できる。その奥には貸スペース「ガリバー」があり、3月14日は、家族と家事がハッピーになる絵本「家族戦隊 カジレンジャー!」発売を記念し、作者、画家、テーマソング作曲家、編集者によって結成された「カジレンジャーズ」が来て、絵本読み聞かせや歌、ダンス、キッズ家事ミニワークショップをやるという。

さぞかしやり手の経営者だと思いきや「いえいえ、私は経営などしたことがありません。思いついたことはすべて試してきて、こういう結果になりました」と今本さん。この地で創業し120年以上の歴史がある洋書専門店、北沢書店が実家だ。20年ほど前、北沢書店は2階に移り、1階に別会社が絵本専門店を開いた。2017年にカフェを併設して店を引き継いだのが今本さんだ。「店ではけん玉教室など楽しいイベントをやっていて、子育て中にお世話になった。恩返しのような気持ちで、私がやろう、できるんじゃないかなと」

ブックハウスカフェが入る北沢ビルは大理石の柱にレンガ造りの堂々たるたたずまい

神保町は昔から本の街だ。神保町が本の街である限り、本屋でありたい。そんな思いがある。年齢層の高い大人の街だが、絵本専門を掲げれば、子どもや親子連れが来る。小さいときに来た街が楽しければ、大人になっても来てくれるのではないか。しかし現実は厳しく、全国的に書店は1日1軒ずつのペースで減っているそうだ。「もはや絶滅危惧種です」と今本さん。「私は絶滅危惧種をお世話する飼育係です」と明るく笑う。「思ったより生き生きと育ってくれています」

入り口脇のディスプレイウィンドウではいつも原画展をやっている

カフェのほか、夜はバーを始めた。イベントを開き、スペース貸しをする。入り口脇のディスプレイウィンドウには常に3~4種類の原画が飾ってある。1階奥には定員25名のギャラリー「ガリバー」のほか、「こまどり」という個室ギャラリーもあって、絵本原画展が開かれている。入り口から奥まで、圧倒的な情報量で原画の美しさや絵本の良さを伝えている。絵本に集まって来る人のよりどころ、拠点に成長してきたという。「原画展をはじめ様々なイベントをしていますが、作家と出会えたり、交流が始まったりと、いつの間にか絵本を介して人と人が出会う場になってきました」

イベントやギャラリーに使われるスペース「ガリバー」

コロナ禍は試練だった。接客もカフェもイベントも、積み上げてきたことが全部できなくなった。インターネット書店に全部かなわない。「存在意義を感じられず自問自答し、書店は必要ないのかと悲しみました」。しかし人件費も家賃もかかるので、サポーター制度を考え出し、呼びかけてみた。するとお金と共に、「こういうお店が必要です」「がんばってほしい」とたくさんの声が寄せられ、慰めと励ましをもらった。もうちょっとがんばってみよう、と思えるようになった。「お客様のおかげです。この店はみなさまの愛でできています」

本棚の奥にギャラリー「こまどり」が。原画展をやっていた

2階にはグランドピアノを備えた定員50名のスペース「ひふみ」があり、コンサートや芝居も可能だ。哲学者と絵本作家によるバータイム(3月19日)や、絵本とベビーマッサージのコラボイベント(3月26日)など多彩に使われている。1階のカフェでは夜にギター・ボーカルと和楽器のデュオによるコンサート(3月20日)も企画されている。らせん階段でのおはなし会(3月21日)など、とにかく、スペースというスペースが毎日のように展示やイベントに使われている。

自分の関心のある本しかお薦めに出て来ないインターネット書店と違い、リアルな書店の良さは偶然の出合い。絵本専門店として、「来るたびに新しい本に出合えるように」定番プラス新刊も置いている。家族で来て、お母さんはお茶を飲んでいてもいいし、子どもは遊んでいていい。「面白そう、ワクワクする、行ってみないとわからない、いわば『劇場のような空間』になるよう工夫しています」

来年は10周年。「小さい積み重ねを1つ1つクリアして10年やってこれた。こういう感じでいけるかな、という目安がついてきたように思う」と話す今本さん。来た客が絵本に出合い、店の空間に感嘆の声をあげて喜ぶ姿をみるとうれしい。そして、「絵本で世界平和を」と志している。「寝る前の子どもに絵本を読んであげられるのも平和であってこそ。親子の読み聞かせ風景は平和の象徴みたいなものだと思うのです」

店をやる中で今本さん自身、あれも読んだ、これも読んだ、と記憶がよみがえり、かつて母が読んでくれたときの心地よさや安心感、ぬくもりを思い出したという。文京区在住の今本さんは息子2人の子育てでは1日2冊までと決めていたが、子どもはお気に入りの本を何度でも繰り返し読むのも好きだ。「幸せな時間を繰り返し、何回でも楽しみたいし確かめたいのでしょう。いい絵本と出合い、お気に入りの一冊をぜひ見つけていただければ」。優秀な「飼育係」の手によって「絶滅危惧種」は見事に息を吹き返しているようだ。(敬)

ブックハウスカフェ(千代田区神田神保町2-5 北沢ビル1F)Instagramでも発信中。イベント情報はこちら。貸しスペース情報はこちら

定休日: なし(年末年始はお休み)
営業時間:書店 11:00~18:00
カフェ (平日)11:00~17:30(ラストオーダー 17:00)
(土日祝)11:00~18:00(ラストオーダー 17:30)
バー リリパット 20:00~23:00(平日のみ)

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