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大塚公園の木と友だちに!伐採や剪定に課題も/大塚公園の歴史と景観を大切にする会が樹木観察会

「木の幹が顔に見えませんか」。確かに、よく見ると、パンダみたいな垂れ目の笑顔が見えてくる。「私はフェンス越しのヤブソテツに向かってラブコールしてるんだと思ってます」。案内人の「わーさん」こと和田敏夫さんの言葉に納得。顔のように見える木はマテバシイだそうだ。

新緑の季節、「大塚公園の歴史と景観を大切にする会」が、大塚公園の樹木観察会を開いた。「木と友達になろう」という副題の通り、顔のように見える木を探したり、実を拾ったり、木の名前も教えてもらいながらそぞろ歩きをした。

大塚公園といえば、2018年にラジオ体操発祥の地、という記事を書いた(過去記事参照)。久しぶりに出向く大塚公園の木々は、あれ?なんだか街路樹みたいに細長く剪定されている。もっと緑豊かだった印象だが。。。集合場所の大塚みどりの図書館近くにあるヒマラヤスギも、元気なくみえる。小石川植物園のヒマラヤスギとは「別人」のよう。

「どの木も『ぶつ切り剪定』ですね。昔は吹かし直し(ふかしなおし)と言って小さく仕立て直すことがありましたが、樹木への負担はかなり大きいです」と和田さん。和田さんは自然観察指導員やネイチャーゲームリーダーなどたくさんの資格肩書があるが、本業は剪定・管理をしている庭師であり、マスター樹護士アーボリストで、この道の専門家だ。

「これは、カツラの大木の伐採あとです」。ラジオ体操をする子どもの像の後ろにあった大木が、2年ほど前に、枝が枯れて危険だからという理由で伐採されたという。誰が植えたか、切り株にはゼラニウムがあり、ピンクの花が咲いていた。

伐採するかどうかはまず樹木診断して、幹の空洞化率などをみたうえで判断するそうだ。切り株を見ながらの和田さんの見立ては、空洞化率はそう高くないし、今すぐ伐採でなくてもよかったのでは、とのこと。

「こちらのカツラ、ぶつ切り剪定ですが、こういう風にやる手もあったのですが」。樹高を低くし、風の抵抗を少なくすれば、倒木のリスクは減る。また、幹の下の方に新芽が生えてきており、こういう芽をいかせばカツラの大木も命をつなぐことができたはずだという。

かつて、木を切らないでそのままにしておく、という時期があったが、管理がずさんだったため、今になって枝が折れたり、倒れたりして人々にとって危険な状態となり、ここ10年ほど東京都が危険と判断した樹木は伐採する流れが加速しているらしい。そういえばあちこちに切り株があるし、枝の先がぶっつり切られている木も多い。

太いケーブルで2本の木がつながれているのを見かけた。ケーブリングというらしい。毎春美しい花を咲かせているサクラの老木が、広場の方に傾きかけており、うしろのフウの木がケーブルで手をつなぐような形で支えている。「ただ、この木がある場所は大きな植木鉢のようなもの。いずれ根づまりを起こすかもしれない」。和田さんの指摘通り、箱のような区画にフウの木もサクラの木も生えているので、大きな植木鉢にみえる。コンクリートにひびが入っている。

「枝葉を伸ばすには、根っこから吸った水とミネラルが必要。根っこを伸ばすには、葉の光合成で作られた成分が必要」。学校で習ったかもしれないけれど、すっかり忘れている。樹木によって、根のはり方も違うらしい。いずれにしてもしっかり伸びるにはしっかり根をはらないといけないから、「植木鉢」は窮屈だろうな、と思う。

別のフウの木は、見る角度によって問題なさそうだが、裏側に回ると大きなうろがあった。「ここ見てください。樹液がしみてます。傷口をふさごうと出しているのです。穴の周囲が分厚くなっているでしょう。これはかさぶたのようなもので、懸命に傷口を覆う努力をしているんです」

ケーブルで支えられているサクラの木も、手すり部分にもたれかかる形になっており、まるで木の「おなかの肉」に手すりがくい込んでいるように見える。「いずれこの木は手すりをのみこむでしょう」。木の力のすごさを実感。

ちょっとした斜面にはえている大きなケヤキがあった。その根元に近づいて和田さんは木づちで幹をたたきながら一周した。根元の方で鈍く低い音がする。「ちょっと棒を入れてみましょうか」。根元はアリが出入りしておがくずのような木の粉がたくさんあった。棒はするすると50センチぐらい入ってしまった。「ここが空洞になっていそうですね」。一見元気そうだが、危ないのかもしれない。

専門的な話の一方、「これはフウの実なんですが、何かに見えませんか」と和田さんが拾った実を、小枝を巣のように重ねた上に置いた。「おかあさん、えさちょうだい、とねだっているヒナみたいでしょ」。確かに。お楽しみあり、解説あり、まさに木と友達になったひとときだった。

「大塚公園の歴史と景観を大切にする会」は、大塚公園の築70年のコンクリート(疑石)製の滑り台が撤去される話が浮上した際、滑り台の保存を願い、2021年11月に発足したという。滑り台の工事は今はストップしているが、今後はわからない。代表の深谷玲子さんは「滑り台の歴史を調べるうちに、大塚公園の江戸期から明治、大正、昭和と変遷する膨大な過去に仰天し、まさにこの地の歴史として情報をFacebookにあげています。昨年は歴史散策の会を開きました」と言う。今年は、伐採や倒木の危機が相次いだため、樹木観察会を開いたという。観察会は、秋にも計画しているそうだ。(敬)


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